英会話は「チャンク」で覚えると効果ある?『はじめてのチャンク英会話』著者が覚え方・使い方を解説
「単語も文法も勉強したのに、英会話になると英語が出てこない」
「返事を考えているうちに、会話が先へ進んでしまう」
「いつも Yes. や I think … ばかり使っている」
こういった悩みを、英語学習者の方からよく聞きます。
英会話で言葉が出ない人は、「チャンク」を覚えてみてください。チャンクとは、2語以上で一つの意味や働きを持つ言葉のかたまりを指します。
私もカナダで暮らし始めた頃は、TOEICで800点ほど取れていたのに、入国審査で言葉が出てきませんでした。知っている単語を頭の中で一つずつ並べてから話そうとしていたので、会話の速さに追いつけなかったのです。
カナダで語学学校を10年経営し、長年英語を教える中で、英会話には単語や文法の知識に加えて、必要な場面ですぐに取り出せる言葉のストックが必要だと気づきました。
次の内容を、実際の表現と一緒に説明します。
- チャンクとは何か
- チャンクで覚えると英語が話しやすくなる理由
- 初心者が先に覚えたいチャンク
- 覚えたチャンクを会話で使えるようにする練習法
- チャンク学習でよくある失敗
漫画を読みながらチャンクを覚えたい方には、2026年8月28日にGakkenから発売された『はじめてのチャンク英会話』もぜひ手に取ってみてください。
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目次
チャンクで英会話は話しやすくなる?
チャンクで覚えると、英会話はかなり話しやすくなります。
たとえば、少し頼みにくいことを丁寧にお願いするときに使う I was wondering if … という表現があります。
I、was、wondering、if と一語ずつ選び、時制や語順を考えてから話すのではありません。I was wondering if … までを一つのかたまりとして覚えておけば、まず言葉を出し、後ろに続ける内容を考える時間も作れます。
I was wondering if you could help me.
手伝っていただけないかと思いまして。
日本語でも、「とりあえず」「そういえば」「それはさておき」といった言葉を、毎回文法から組み立ててはいませんよね。場面に合う言葉が、ひとかたまりで口から出てきます。
英語でも、よく使う言葉をチャンクで頭に入れておくと、会話のたびに英文をゼロから作る負担を減らせます。
チャンクで覚えると英語が出るまでの時間が短くなる
会話中の沈黙は、言いたいことがないからとは限りません。知っている単語を探し、文法に合わせて並べ、間違いがないか確認しているうちに時間が過ぎてしまう人が多いです。
How should I put it?(なんと言えばいいかな)のようなチャンクが出てくれば、考えていることを相手に伝えながら、次の言葉を探せます。
英語を途切れずに話す人は、難しい英文を休まず作り続けているわけではありません。話を始める言葉、少し考えるときの言葉、相手に返す言葉を使いながら会話をつないでいます。
文法や語順を毎回考えなくてよくなる
I’m not sure if … を「〜かどうか分かりません」というかたまりで覚えておけば、if の後ろだけを替えて使えます。
I’m not sure if he’s coming.
彼が来るかどうか分かりません。
I’m not sure if this is the right bus.
このバスで合っているか分かりません。
よく使われる形のまま覚えるので、話すたびに語順を考え直す必要がありません。文法を勉強しなくていいという意味ではなく、勉強した文法を会話で使える形にして持っておく、ということです。
Yes. 以外の返事が増える
英会話では、長く話すことだけがスピーキングではありません。相手の話を聞き、短い言葉を返すことも会話の一部です。
That makes sense.(なるほどね)、You bet!(もちろん!)、No wonder.(どうりで)のような短いチャンクを知っていると、相手の話に合った反応ができます。
一言でも返事があれば、相手は「話が伝わっている」と分かります。自分が次に話す内容を考えている間も、会話が止まりにくくなります。
リスニングでも言葉のまとまりをつかみやすくなる
チャンクは、話すときだけでなく、聞くときにも役立ちます。
The thing is … を知っていれば、会話の中で聞こえたときに「ここから事情や言いにくい話が続く」と予想できます。単語を一つずつ日本語に置き換えるより、話の流れを追いやすくなります。
自分で言える表現は、耳に入ったときにも気づきやすいものです。音声を使ってチャンクの音とリズムまで覚えると、リスニングで拾える言葉も少しずつ増えていきます。
初心者が失敗しないチャンクの選び方
チャンクは数え切れないほどあります。最初から難しい表現や、ネイティブらしく見えるスラングを集める必要はありません。
自分の会話で出番の多いチャンクから覚えたほうが、使う機会が早く来ます。実際に通じた経験があると、次の表現も覚えやすくなります。
自分が言葉に詰まりやすい場面から選ぶ
まず、英語で何を言うときに困るのかを思い出してください。
- お願いを切り出したい
- 誘いを柔らかく断りたい
- 少し考える時間がほしい
- 相手の話に気の利いた返事をしたい
- 自分の意見を補足したい
お願いで困るなら I was wondering if …、事情を話したいなら The thing is … というように、必要な場面と表現を組み合わせます。
使う場面が想像できないチャンクをたくさん覚えるより、「次に同じ場面が来たら言ってみよう」と思える言葉を一つ選ぶほうが、会話のストックになります。
短くて応用しやすい表現を優先する
最初は、後ろの単語を替えれば何度も使える形や、一言で返事ができる表現が便利です。
I’m not sure if … なら、予定、場所、相手の考えなど、さまざまな話題に使えます。That makes sense. なら、仕事でも日常会話でも相手の説明を受け止められます。
長い例文を丸暗記する前に、会話の土台になる短いかたまりを増やしてください。
自分が口に出して違和感のない表現を選ぶ
意味は同じでも、言葉には親しさや丁寧さの違いがあります。海外ドラマで見た表現をそのまま使うと、自分の年齢や相手との関係に合わない場合もあります。
私自身、カナダで暮らす中で何度も使い、日本人が口にしても気恥ずかしくないと感じた表現を優先してきました。
覚えるときは日本語訳だけで判断せず、誰に、どんな表情や声の調子で言うのかまで確認してください。
日常でも仕事でも使いやすいチャンク5選
ここからは、『はじめてのチャンク英会話』に収録した600のチャンクから、使う場面が多いものを5つ紹介します。
I was wondering if …「〜していただけないかと思いまして」
少し頼みにくいお願いや、予定の打診を丁寧に切り出す表現です。
I was wondering if we could meet next week.
来週、お会いできないかなと思いまして。
I was wondering if … まで言ってから、お願いの内容を続けます。電話での問い合わせや仕事のメールにも使いやすいチャンクです。
The thing is …「というのも」「事情があって」
断りや言いにくい事情を話す前に置くと、これから理由を説明すると相手に知らせることができます。
The thing is, I can’t come tomorrow.
事情があって、明日は行けないんだ。
いきなり I can’t. と言うよりも、少し柔らかく本題へ入れます。
That makes sense.「なるほど」「それなら納得」
相手の説明を理解し、内容にも納得したときの一言です。
A:I left early because I had a meeting at eight.
8時から会議があったから、早く出たんだ。B:That makes sense.
なるほどね。
I understand. よりも、「話の筋がつながった」「それなら納得」という反応を伝えられます。
You bet!「もちろん!」
お願いを気持ちよく引き受けるときや、質問に強く肯定するときに使います。
A:Can you send me the file?
ファイルを送ってくれる?B:You bet!
もちろん!
北米の会話でよく聞く、明るくカジュアルな返事です。友人や親しい同僚との会話に向いています。
It is what it is.「しょうがない」「そういうものだよ」
すでに起きたことや、自分では変えられない状況を受け入れるときに使います。
The flight was canceled. It is what it is.
フライトが欠航になった。まあ、しょうがない。
落ち着いた声で言えば、「変えられないことは受け止めよう」という響きになります。投げやりな声では印象が変わるので、表情や言い方も一緒に覚えたいチャンクです。
覚えたチャンクを会話で使えるようにする練習法
チャンクをノートに書き写すだけでは、会話中にすぐ出てくる言葉にはなりません。
使う場面を理解し、実際の音を聞いたうえで、自分でも口を動かしてください。
場面と一緒に覚える
たとえば That makes sense. を「なるほど」とだけ覚えると、I see. や I understand. との違いが分かりにくくなります。
相手から理由を聞き、話の筋がつながった場面まで覚えておけば、「今が That makes sense. を使うところだ」と判断できます。
文章だけでは場面を想像しにくい人には、漫画が向いています。人物の関係、表情、話の前後が見えるので、表現の意味だけでなく使うタイミングも記憶に残りやすくなります。
チャンクの後ろを替えて声に出す
I was wondering if … を覚えたら、一つの例文で終わらせず、自分が言いそうな内容に替えてみます。
I was wondering if you had a minute.
少しお時間があるかなと思いまして。
I was wondering if I could change my reservation.
予約を変更できないかと思いまして。
先頭のチャンクは変えず、後ろだけを自分の生活に合わせると、文法を考え直さずに応用できます。
音声を聞いて、かたまりのリズムをまねる
単語を一つずつ区切って読むと、会話ではチャンクとして聞こえにくくなります。音声を聞き、どこが強く、どこが弱く読まれているかを確認しながら、同じ速さで声に出します。
一度で完璧な発音にしようとしなくて大丈夫です。まずは意味を思い浮かべながら、チャンク全体を止まらず言える状態を目指します。
一度覚えた表現に何度も再会する
新しいチャンクを増やし続けるより、前に覚えた表現を別の会話でもう一度見るほうが記憶に残ります。
同じチャンクを漫画、会話例、音声の中で繰り返し確認し、「見れば分かる」状態から「場面が来たら言える」状態へ移していきます。
続けやすいチャンク英会話の学習スケジュール
毎日何十個も暗記する予定を立てると、復習が追いつかなくなります。平日に少しずつ新しいチャンクに触れ、週末に口から出るかを確認すると、無理なく続けやすくなります。
- 平日:漫画を1話読み、使ってみたいチャンクを3つ選ぶ
- 平日:選んだ3つの音声を聞き、例文を声に出す
- 週末:その週に選んだチャンクを、英文を見ずに言ってみる
- 言えなかった表現:場面と会話例を読み直し、翌週も残す
すべてを同じ回数だけ練習する必要はありません。すでに言える表現は先へ進み、言葉に詰まった表現をもう一度練習します。
『はじめてのチャンク英会話』には、各チャンクに3回分のチェック欄があります。「目を通した」という印よりも、「場面を見て口から出たか」を確認する欄として使うと、復習する表現を選びやすくなります。
よくある失敗:600チャンクを一度に完璧に覚えようとする
チャンク学習を始めると、「せっかくなら600個すべて暗記してから話したい」と考える人がいます。
ただ、600個の日本語訳を言えるだけでは、英会話で使える状態にはなりません。お願いしたい場面で I was wondering if … が出る、説明を聞いて That makes sense. と返せる、といった小さな経験を増やしてください。
「一度で覚えなければいけない」
「スペルまで完璧に書けないと使ってはいけない」
「発音に自信がつくまで会話では言わない」
こう考えると、使う前の準備ばかりが長くなります。
最初は、一週間に3つでも構いません。選んだチャンクを何度も声に出し、使える場面が来たら一つ言ってみてください。通じたチャンクは、自分の言葉として残りやすくなります。
チャンクを場面ごと覚えたい人へ
ここまで読んで、「チャンクは役立ちそうだけれど、どれを選べばいいのか分からない」「使う場面を自分で探すのが難しい」と感じた方もいると思います。
そこで私は、チャンク学習のハードルをできるだけ下げようと考え、『はじめてのチャンク英会話』を作りました。
本書では、CAを目指しながらカフェで働く芽衣、同僚のレオ、カナダ帰りのくみこ先生が登場します。小林潤奈さんの漫画を読み進めながら、登場人物がどの場面でチャンクを使うのかを見て覚えられる作りです。
本書には、次の内容を収録しています。
- ネイティブの日常会話で使われる600チャンク
- チャンクが会話の中で登場する50話の漫画
- 600チャンクすべての会話例と和訳
- 何度も聞いて練習できる無料音声100トラック
- 後の漫画や会話例で、前に出たチャンクと再会する構成
- 覚えたかを3回確認できるチェック欄
収録する表現は、私がカナダで暮らす中で本当によく使った言葉や、長年の指導で学習者に必要だと感じた言葉から選びました。お願いを切り出す、少し考える、相手の話に返事をする、ノーを柔らかく伝えるなど、日本人が英語で詰まりやすい場面を支えるチャンクを集めています。
単語帳のように最初から順番に暗記しなくても構いません。漫画を読み、気になったチャンクの音声を聞き、自分なら何と言うかを声に出すところから始められます。
芽衣たちの会話を読み終える頃に、「英語で何と言おう」ではなく、「あのチャンクを使おう」と思える場面が増えていたらうれしいです。
『はじめてのチャンク英会話』
著者:中林くみこ
漫画:小林潤奈
出版社:Gakken
発売日:2026年8月28日
価格:1,980円(税込)
判型・ページ数:A5判・336ページ
ISBN:978-4-05-306381-6
よくある質問
Q. 英会話初心者でもチャンクを使えますか?
使えます。長い文章より、That makes sense. や You bet! のような短い返事から始めると、会話で試しやすいです。まずは、自分がよく困る場面で使えるチャンクを3つ選んでください。
Q. 600チャンクをすべて暗記する必要がありますか?
最初からすべてを暗記する必要はありません。漫画を読みながら出会う回数を増やし、自分が使いたい表現を優先して声に出します。覚えにくいチャンクだけをチェック欄で残しておくと、復習しやすくなります。
Q. 日本語訳だけ覚えてもいいですか?
日本語訳は意味を確認するために使いますが、訳だけでは使うタイミングが分かりません。誰が、誰に、どんな状況で言ったのかを会話例や漫画で確認してください。
Q. 音声はどのように使えばいいですか?
最初に漫画で場面をつかみ、次に音声を聞きます。英文を見ながら一緒に読み、最後は英文を見ずにチャンクが言えるかを確認すると、意味・音・場面が結びつきます。
Q. 仕事の英会話にも使えますか?
I was wondering if … のような依頼、The thing is … のような事情説明、That makes sense. のような返事は、仕事でも使えます。相手との関係に合わせて、丁寧さやカジュアルさを会話例で確認してから使ってください。
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