受動態って、仕組み的には単純です。
be動詞+過去分詞
これで、受け身の意味になります。
しかし、実はかなり間違いやすいものでもあるんですね。
この記事では、受動態の基礎知識をおさらいしつつ、間違いポイントに絞って解説していきますね。
本記事の信頼性
受動態の基礎知識
ここで、受動態の基本ルールを確認しておきましょう。
こんな文章があります。シンプルな過去形の文章です。
He fixed the car.
彼はその車を修理した
he → 主語
fixed → 「修理する」という意味の”fix”という他動詞の過去形
the car → fixの目的語(fixという動詞は他動詞のため、直後に目的語を置く必要があります)
この文章を受動態にしていきましょう。
受動態というのは、この文章の目的語を主語に持ってきて、「~られる」という受け身の意味の文章を作るものです。
今回でいえば、目的語の”the car”を主語に持ってきて「車が修理される」という意味の文章を作る、ということですね。
The car was fixed by him.
その車は彼によって修理された
the carというのを文章の先頭に持ってくる必要があり、この時に、順番を変えるだけではなくて、動詞を過去分詞形に変えます。そして、その前にbe動詞を新たに加えます。
fixの過去分詞形は、fixed。
heが主語で、過去形の場合のbe動詞はwas。
もともとの主語であるheは、受動態になると「動作主」ということで、新たにby(~によって)という前置詞の後に置き、目的格のhimに変わります。
少しややこしいのが、fixの過去形もfixedで、過去分詞形もfixedで同じ形なので、両者をごっちゃにしてしまうことがあります。
過去形は、「過去」の時制を表すもの。
過去分詞形は、過去と名前にはついていますが、時制の「過去」とはまったく関係がなく、受動態や完了形を作る時にだけ登場します。
過去分詞形は、時制の「過去」ではない!
ということだけ、しっかり区別しておいてください。
色々な時制の受動態
be動詞の部分だけを時制に合わせる
こんなツイートをしたことがあります。
受動態ってただの
be動詞+過去分詞
と思いきや
時制と混ざるとややこしくなる😖
「was being built 」
え?このbeing何?「have been able to be 」
え?be動詞多すぎん?とかね。
鉄壁のルールとして
『be動詞の部分だけを変化させる』
は覚えててください‼️
— Kumiko@英語スパルタ校長 (@IELTS_expert) November 13, 2020
シンプルに思える受動態も、時制が変わってくると間違いが多発!
でもこれもコツをおさえると難しくありません。
そのコツとは・・・
受動態は、時制がどれだけ変わろうと、過去分詞の部分は変わらない!
be動詞の部分だけ、時制に合わせて変える!
というものです。
The car was fixed by him.
その車は彼によって修理された
という文章の時制が変わると
【現在形】The car is fixed by him.
(その車は彼によって修理される)
【現在進行形】The car is being fixed by him.
(その車は彼によって修理されている)
【過去進行形】The car was being fixed by him.
(その車は彼によって修理されていた)
【現在完了形】The car has been fixed by him.
(その車は彼によって修理されている)
となりますが、変化している部分は赤文字にしています。
be動詞だけが変わっているのが、わかるでしょうか?
fixedという過去分詞(青文字)は、どの時制でも変わらないですね。
「過去分詞は、過去ではない!」というルールを思い出してください。
過去分詞形は、受動態を作るためだけに登場しているだけなので、過去形だろうが、現在形だろうが、変わらないのです。
応用問題1
ここでちょっと応用問題です。
「キツネは犬たちから追われていた。」(the foxを主語に)
という文章を英語にすると、どうなりますか?
× The fox was chased by the dogs.
⚪︎ The fox was being chased by the dogs.
「追われていた」というのは、過去の一時点での「進行している動作」を表すので、過去進行形を使います。
加えて、「追われる」側(キツネ)が主語なので、受動態を使います。
つまり受動態の過去進行形なわけですが、上記で言ったとおり、be動詞のところだけを過去進行形にします。
過去進行形は、「was + 動詞のing形」ですね?この動詞のing形のところに、be動詞を当てはめます。
be動詞のingはbeing なので、「was+being+過去分詞形」の形になるというわけです。
応用問題2
では、こちらの文章を英語にしてみてください。
「最近、たくさんの建物が建てられている。」(現在完了形のhaveを使って)
現在完了形は「have+動詞の過去分詞形」なので、これを受動態の過去分詞形と混同する人がとても多いです!
× Many buildings have constructed these days.
しかし、思い出してみてください。過去分詞のところはどんな時制でも変えないんでしたよね。
be動詞のところだけを変えるんですよね。
現在完了形は「have+動詞の過去分詞」ということは、be動詞の現在完了形は『have been』ですよね。(be動詞の過去分詞はbeen)
ということで、これを合わせると『have been constructed』となります。
Many buildings have been constructed these days.
最初の章で言った、過去分詞形は、時制の「過去」ではない!という区別をすることが、大前提になってきます。
ここをごっちゃにしているから、時制が過去になったりするとややこしくなるのです。
受動態は目的語を取らない
「受動態」の文章は、「目的語」を取ることができません。
なぜなら、最初の章で説明したように、受動態はもともと目的語が主語になった文章だからです。
間違い例1
例えば、次の文章はなぜ間違いなのでしょうか?
I was stolen my bicycle.
私は自転車を盗まれた。
受動態は、目的語を取ることができないんでしたね。
I was stolen my bicycle.
↑ ↑ ↑
主語 動詞 目的語?
もとの文章↓
(Someone) stole my bicycle.
↑ ↑ ↑
主語 動詞 目的語
もともとの目的語(my bicycle)を主語にしないといけないので、下記のようになります。
〇 My bicycle was stolen.
↑この文章を見ると、「ああ、そうだな」と思うでしょうが、日本語の「私は自転車を盗まれた」という文章の主語が「私」なので、ついそのまま”I”を主語に持ってきてしまうのですね。
日本語からダイレクトに発想するのではなく、「受動態は目的語を取らない!」というルールを常に頭に置いておきましょう。
間違い例2
この日本語を英語にすると、どうでしょう?
「私は間違いを直された」
× I was corrected my mistake.
やはりこれも、日本語の主語が「私」なので”I”を最初に持ってきてしまうパターンですね。
「受動態は目的語を取らない!」ということを頭に入れていると、「悪い例」のような文章を書いてしまったとしても、「あれ?おかしいな」と気づけるはずです。
〇 My mistake was corrected.
例外
もともと目的語を2つ取ることができる動詞は、受動態でも目的語が取れます。
もとの文章:
(Someone) gave me roses.
↑ ↑ ↑ ↑
主語 動詞 目的語1 目的語2
第4文型と呼ばれるSVOO文型ですね。
上の文章を受動態にして「私はバラをもらった。」とすると、受動態でも目的語をとります、
I was given roses.
↑ ↑ ↑
主語 動詞 目的語
この場合、目的語の1つ目である”me”が、受動態になる時に主語である”I”へと変化していますね。
ただ、目的語の2つ目である”roses”は残っているので、これはこのまま動詞の後に残しておいてOKということです。
これは例外なのですが、そもそも第4文型(SVOO)を取ることができる動詞というのは数が限られているので、ほとんどの動詞の場合は、受動態は目的語を取れないというルールが適用されますよ!
受動態にしてしまいがちな動詞
こちらも受動態でよーくある間違いなのです!
ついつい受動態にしてしまう動詞⚠️
(出来事が)起こる
❌ be happened
⭕️ happen現れる/消える
❌ be appeared/ disappeared
⭕️ appear/ disappear存在する
❌ be existed
⭕️ exist日本語ではあまり「動詞」なイメージが無いからbe動詞付けたくなっちゃうかな?😵
間違い頻出注意⚠️
— Kumiko@英語スパルタ校長 (@IELTS_expert) December 15, 2020
【よくある間違い】
『待たされる』というと受け身な感じがするからか
❌I was waited
とか
❌I kept waited
とする人が多いがこれは間違い🙅♀️waitは自動詞なので受動態にできない。
⭕️I waited
⭕️I kept waiting日本語から発想すると間違うので
英語のルールから考えて会話・ライティングしよう— Kumiko@英語スパルタ校長 (@IELTS_expert) December 15, 2020
上のツイートのように、動詞によっては、すごく「受動態にしたくなる」ものがあります。
たとえば、この文章を英語にすると、どうなるでしょう?
大きい問題が起きる。(happenを使って)
× A big problems is happened.
〇 A big problem happens.
happenは自動詞(目的語を取らない動詞)ですので、受動態にすることはできません。
説明はややこしいのですが、自動詞は受動態にできない!というルールとして覚えてしまってください。
新しい動詞を覚えるときに辞書で「自動詞なのか他動詞なのか?」ということを確認するクセをつけるようにしてください!
happenの仲間であるoccur, take place (=どちらも「起きる」という意味)もまったく同じです!
まとめ
「受動態」って、日本語での「受け身の表現」とはけっこう違う概念なんだということがおわかりいただけたと思います。
日本語からそのまま直訳するのではなく、
- この動詞は自動詞なのか、他動詞なのか
- もともとの主語は何なのか
といったことを考えながら話したり書いたりすることが重要ですよ!
今回は、受動態について解説してきました。
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