代名詞は、「I・my・me・mineの表を覚えれば終わり」と思われやすい文法です。

しかし、実際に英語を話したり英文を書いたりすると、heやsheを省略する、同じ人の名前を何度も繰り返す、モノを指すtheyが出てこない、主語がtheyなのにmyselfを使う、といった間違いがよく起こります。

私がこれまで会話や英文を確認してきた中でも、代名詞の形は知っているのに、文の中で正しく選べない人は少なくありませんでした。

この記事では、まず人称代名詞・所有格・目的格・再帰代名詞を一覧表で確認し、日本語話者が間違いやすいitsとit’s、単数のthey、it・this・thatの使い分けを例文で説明します。

IELTS対策のために代名詞を見直している方は、IELTS英文法攻略ガイドも合わせて確認してください。今のスコアに合った文法の勉強順と参考書をまとめています。

著書:IELTS語彙文法でる500問

IELTS語彙文法でる500問|IELTSの基礎固めはこの一冊!IELTS6.5〜7.0を目指す人へ。500問の実践問題で語彙と文法を「使える力」へと変える一冊!暗記では終わらせない、試験直結の基礎固めと対策が同時にできる決定版テキスト。...
中林くみこのプロフィール。IELTS公式運営団体IDP Educationセミナー講師。東京オリンピック公式ルールブック日英翻訳。カナダトロントにて英語語学学校を10年経営。

なぜ日本人は代名詞が苦手なのか

日本人は、「代名詞」を活用しない人が多いなぁ、と感じます。

それもそのはず、日本語ってあまり代名詞を「活用しない」言葉なんです。

確かに、「She=彼女」とか、「he=彼」、とか、日本語で相当する言葉はあるんですよ。

しかし、実際に会話で出てこないことが多いです。

パターン1:日本語は代名詞を省略することがある

日本語
昨日、ジョンに会ったんですよー。
(彼は)美味しい寿司を食べたいと言っていました。

英語
I met John yesterday.
He said he wanted good sushi.

パターン2:日本語は名詞を繰り返す

日本語
昨日、ジョンに
会ったんですよー。
ジョンは美味しい寿司を食べたいと言っていました。

英語
I met John yesterday.
He said he wanted good sushi.

日本語で「彼は美味しい寿司を食べたいと言っていた」と言うのは、うーん・・・って感じですよね。

海外生活が長い日本人は、日本語の時にも代名詞を多用してしまうクセが出たりするのですが、自分の親や子どものことを「彼」「彼女」と言ってしまい、相手にけっこうな違和感を与えます。笑

昨日、お母さんに会ってね。彼女が、よろしくって言ってたよー。

息子が面白いこと言ったんだよー。彼、○○って言っててさー。

一瞬、「ん?彼女って誰?」「彼って誰?」ってなりますよね。笑

日本語だと、こうなので、日本人が英語をしゃべる時も、代名詞を省略してしまったり、名詞を何回も繰り返し使ったりという罠に陥ります。

しかし、英語では代名詞を使わないほうが、かなりの違和感を与えてしまいます。

ですので、英語を話したり書いたりするときには、意識して代名詞を使う必要があるのです。

代名詞の基礎知識

I・my・me・mineは、文のどこで使うかによって形が変わります。まず、8種類をまとめて確認してください。

主格
主語になる形
所有格
名詞の前
目的格
動詞・前置詞の後
独立所有格
名詞なしで使う形
再帰代名詞
〜自身
I my me mine myself
we our us ours ourselves
you your you yours yourself / yourselves
he his him his himself
she her her hers herself
it its it itself
they their them theirs themselves

所有格のmy・your・theirなどは、後ろに名詞を置きます。独立所有格のmine・yours・theirsなどは、名詞を繰り返さずに「私のもの」「あなたのもの」と表す形です。

人称代名詞はモノも表す

人称代名詞は、その名のとおり、「人」を表すものがメインですが、実はこれには「モノ」も含まれます。

  • I → 私
  • we → 私たち(私を含む二人以上)
  • you → あなた、あなたたち
  • he → 彼
  • she → 彼女
  • it → それ(モノ)
  • they → 彼ら、それら(モノ)

これは大丈夫ですか?

習った覚えはあっても、実際に運用するとなると、思い込みが邪魔をして間違ってしまうパターンがあります。

1つの代名詞に2つ以上の意味がある

人称代名詞をややこしくしているのが、一つの代名詞が二つの意味に使われることがあること。

例えば、

you →「あなた」もしくは「あなたたち」

つまり、単数も複数も同じ単語を使う!

they →「彼ら(人の複数)」もしくは「それら(モノの複数)」

つまり、人もモノも同じ単語を使う!

特に、theyは「彼ら」と覚えている方が多いので、「それら」という発想がなかなかできません。

そのため、リーディングで、ここのtheyって誰のこと?と混乱したり、ライティングで、モノの複数を表すのにtheyを使えなかったり、という問題が勃発します。

性別がわからない場合のthey

theyは複数だけでなく、性別が分からない、または性別を特定する必要がない1人を指すときにも使います。

If a person studies at university, they can get a degree.
大学で学べば、学位を取得できます。

a person、someone、anyoneなどを受けるtheyは、1人を指していても自然な英語です。動詞はthey are / they haveのように、通常のtheyと同じ形を使います。

「1人だからheかsheを選ばなければならない」と考えると、長いhe or sheを繰り返したり、分からない性別を勝手に決めたりすることがあります。会話でもライティングでも、性別を特定しない人にはtheyを使えます。

文章のどこに置くかで形が変わる

英語でややこしいのが、目的語など他の場所で使われる場合は別の形になる、ということなのです。

例えば、「私」= I で言えば、

  • 主格 I
  • 所有格 my
  • 目的格 me
  • 独立所有格 mine
  • 再帰代名詞 myself

「アイ、マイ、ミー、マイン」と唱えさせられた覚えがある方も多いと思います。実はこれはとても重要でして、完全に覚えてしまってください。

ただし、再帰代名詞も含めてください。つまり「アイ、マイ、ミー、マイン、マイセルフ」と唱えてください。

再帰代名詞は、主語と目的語が同じ人やモノのときに、目的語として使う。もしくは、特に「~自身」と強調したいときに使います。

例:I like myself.
私は私自身が好きだ。

文法用語を覚えることよりも、主語と目的語が同じ人やモノを指しているかを確認してください。myself・yourself・themselvesなど、主語に合う形を選びます。

間違いが多発するポイント

所有格、目的格、再帰代名詞で間違いやすいポイントをあげておきます。

itの所有格はits(it’sとは別もの)

itの所有格はitsなのですが、これをit’s だと思っている人が多いです。

itsは「それの」という意味で、itの所有格です。

it自体がモノを表すので、所有すること自体が無いのでは?と思いきや、わりと出てきます。

例えばcompanyなどですね。

The company went bankrupt and its employees became unemployed.
会社は破産し、その(=会社の)従業員は無職となった。

このitsを”it’s”と勘違いする人が多いです。ぱっと見、似てますもんね。

しかしこの両者はまったく違っており、it’sはit isの省略形なので主語+動詞の組み合わせであり、名詞としては使うことができません。

この「点」(アポストロフィーといいます)によってかなり違ってくるので、気を付けてくださいね。

their, them, themselvesは「モノ」にも使う

theyは「彼ら」と覚えているから、「それら」という意味とは結びつけにくいですが、モノにも使います。

  • their → 彼らの/それらの
  • them → 彼らに/それらに
  • themselves → 彼ら自身に/それら自身に

youは再帰代名詞だけ単数と複数が違う形

you は単数でも複数でも主格、目的格、所有格とすべて同じなのですが、

再帰代名詞だけ

  • yourself (単数)
  • yourselves(複数)

に分かれます。

「あなた」と「あなたたち」が同じ単語を使う、というのがそもそもややこしいというのもありますが、なぜか再帰代名詞だけは使い分けられています。

あなた自身= yourself

あなたたち自身= yourselves

再帰代名詞をうまく活用できず、すべてmyselfにしてしまう

スピーキングやライティングでよく見られるのですが、このように間違っている人がいます。

They should take care of myself.

何が間違っているかというと、「彼ら」と「自分自身」は同じ人物たちを指しているので、theyという主語と呼応するように再帰代名詞はthemselvesにします。

正しくは、このような文章にしなければなりません。

They should take care of themselves.
彼らは自分自身をケアしなければいけない

再帰代名詞はmyselfを使うことが圧倒的に多く、他の(yourself, themselves, himself, herself)バリエーションを使うことが少ないので、とっさに使えないわけです。

これはケアレスミスとも言えるかもしれませんが、主語と再帰代名詞が一致するように、注意が必要です。

“it”は「それ」と訳す時と訳さない時がある

代名詞の中でもitというのはとてもよく使われるのですが、多くの人はごっちゃになって覚えていると思います。

覚えているというか、何となく同じものだと思っている。

何をごっちゃにしているかというと、itが大きく二つに分けられるということです。

  1. 日本語で「それ」と訳すべき時
  2. 日本語で「それ」と訳すべきではない時

この二つの種類があることを無視して、「it=それ」である、と考えている人が多いと感じます。

翻訳家になりたいわけじゃないから、日本語訳とか関係ないんじゃ?!と考えるのは間違いで、大いに関係があります。

というのも、②の「それ」と訳すべきでない時は、そもそもitに実体がないからです。

詳しく見ていきましょう。

itを「それ」と訳すべき時

これは多くの人が認識しているitの使い方ですね。

主には人称代名詞の目的格、つまり目的語が来るべき箇所に置かれるitです。

もちろん代名詞なので、前に出てきて何を指すかわかる場合に使います。

He likes eating sweets, but he won’t admit it.
彼は甘いものが好きなのに、本人はそれをどうしても認めようとしない。

このように、何を指すか(この場合は”likes eating sweets”ですね)が明らかで、itには「それ」という訳がきちんと付く、という状況です。

ちなみに、この例のように、名詞一語ではなくとも、「事実」全体を指すこともできます。

itを「それ」と訳すべきではない時

  1. 仮主語
  2. 仮目的語
  3. 漠然としたものを指す主語

「それ」と訳さないパターンは、大きく分けて3つあります。

仮主語

仮主語は、知っている人が多いですね。

「It is A for B to V」の形で、「BがVすることはAである。」という意味を表すことができます。

It is difficult for me to learn English.
英語を習得することは私にとって難しい。

この場合、主語である”it”は「それ」ではないことはお気づきでしょうか?

訳には出ていませんね。

それもそのはず、このitはその名の通り、仮に置いているだけであり、本当の主語はto以下だからです。

だから基本的には「それは難しい~」ではなく「to Vすることは難しい」と訳します。

このように簡単な文章だったら良いんですが、少しレベルが上がってくると、よくある間違いが二つ。

一つ目のよくある間違いは、読むときに「それ」と訳して読んでしまう。

仮主語を使った英文はよく出てきます。

しかし上記のような簡単な教科書風の文章ではなく、けっこう複雑な文章として出てきます。

そうなると、「It is A for B to V」の形であることが見抜けず、仮主語の”it”を「それ」と解釈してしまいます。

そうなると、直前の文章に出てきた名詞もしくは直前の文章全体を指すことになってしまい、本来は同じ文章の中のto以下を指すので、おかしなことになってしまいます。

文章が長かったり、動詞がisではなくwould beなど助動詞付きになっていたりすると、見逃しがちですが、小さなforとtoというサインを見落とさないようにしてください。

たまにforの部分が無い時があるので注意!

二つ目のよくある間違いは、書くときや話すときに、順番を間違えてしまう。

一番多いのが、こういう間違いです。

× It is difficult to learn English for me.
◯ It is difficult for me to learn English.

つまり「It is A for B to V」としないといけないところを「It is A to V for B」と書いてしまう間違いです。

ケアレスミスの場合もあるでしょうが、多くの人は、「順番は別にいいんじゃない?」と思っているか、あるいは、「後から付けたし」のようになってしまっていると感じます。

しかし、順番が違うと、文法ミスであり、れっきとした間違いですので、気を付けましょう。

仮目的語

「仮目的語」という言葉が耳慣れないという人も多いと思いますが、こんな文章は見たことがあると思います。

This program makes it impossible to copy software.
このプログラムは、ソフトウェアをコピーできないようにしている

This program makes to copy software impossible.

と書くと、目的語の部分(下線部分)が長くなりバランスが悪いので、目的語部分にitを置いて、後からtoで補うのです。

仮目的語については、仮主語のコンセプトを理解していれば問題ないといえます。

というのも、頻度がかなり低いですし、使う動詞も限られているのです。

漠然としたものを指す主語

大きく、4つのパターンがあります。

1、曜日や日時を表す文
What day is it today?
今日は何曜日?

2、天気や明暗や寒暖を表す文
It’s very humid here.
ここはとてもむしむししますね。

3、距離を表す文
It’s about two kilometers to the town from here.
ここからその町までは2キロほどあります。

4、ばくぜんとした状況を表す文
How’s it going?
調子はどう?

よくある間違いとして、日本語から発想して「ここは」「今日は」などを主語にして文章を作ってしまうものがあります。

× Today is humid.
× Here is humid.

あとは、「距離は~」などと言いたいがために

× The distance is two kilometers…

といった文章も良く見かけます。

もちろん、これでも通じるのですが、不自然になってしまいます。

漠然としたitを会話でもぱっと出てくるくらい使いこなせると上級者の仲間入り?!

指示代名詞this・that・these・thoseの使い方

this、that、these、thoseの使い方

this・that・these・thoseは、人やモノを指すだけでなく、会話の内容や前の文で述べた考えを受けるときにも使います。

A: I failed the exam.
B: That‘s disappointing.
A:試験に落ちました。
B:それは残念ですね。

相手が言った内容を受けて感想を返すときは、thatがよく使われます。前の文の考えを取り上げ、自分の説明を続けるときにはthisも使えます。

We have the right to express our opinions freely. This is called freedom of speech.
私たちには、意見を自由に表明する権利があります。これは言論の自由と呼ばれます。

itは、すでに話題に出た具体的な名詞や、聞き手も何を指すか分かっているモノを受ける場合に向きます。thisとthatのどちらか一方だけが常に正しいわけではなく、話し手が内容をどう取り上げるかによって選び方が変わります。

代名詞を見直すときのチェック項目

  • 同じ人やモノの名前を繰り返さず、he・she・it・theyへ置き換えたか
  • 主語、所有格、目的格の形を文中の位置に合わせたか
  • itsとit’sを区別したか
  • 再帰代名詞を主語に合わせたか
  • it・this・thatが何を指しているか、読み手に分かるか

英語の代名詞に関するよくある質問

I・my・me・mineはどう違いますか?

Iは主語、myは名詞の前、meは動詞や前置詞の後、mineは後ろに名詞を置かず「私のもの」と言うときに使います。I like her. / This is my book. / She likes me. / This book is mine. のように、文中の位置で選んでください。

1人を指すのにtheyを使ってもよいですか?

性別が分からない人や、性別を特定しない人を指す場合は、1人でもtheyを使えます。someone、anyone、a personなどを受ける形は、会話でも文章でも使われます。

itとthis・thatはどう使い分けますか?

itは、すでに何を指すか分かっている人・モノ・状況を受けます。thisとthatは、目の前の人やモノを指すほか、会話の内容や前の文の考えを取り上げるときにも使います。文脈によってthisとthatのどちらも使える場合があります。

英文法を順番に学び直したい人へ

代名詞だけでなく、時制、助動詞、比較、接続詞などをどの順番で確認すればよいか迷っている人向けに、無料の7日間メール講座を用意しています。

英文法無料7日間メール講座を見る

ABOUT ME
プロフィール中林くみこ
中林くみこ(Kumiko)
中林くみこ(Kumiko)。株式会社エヌファム代表、IELTS専門講師・著者。「KumikoのIELTSオンライン講座」を主宰しています。カナダで語学学校を10年経営し、IELTS対策をはじめ、TOEIC、英文法、ビジネス英語、翻訳、通訳、英会話など幅広く指導してきました。詳しいプロフィールはこちら
英文法の壁を越える!無料7日間メール講座

英文法を勉強しているのに、話したり書いたりすると使えない。文法の知識は増えたのに、中級の壁を越えられない。そんな方に向けた7日間の無料メール講座です。

私が英語学習に失敗したあと、翻訳者・語学学校経営者になるまでに見直した「学習の順番」をお伝えします。

文法を知識のままで終わらせず、実際に使えるようにする勉強法を7日間でお届けします。

メール講座の内容を見る