ChatGPTは、英語の質問に答えてくれるだけのツールではありません。使い方を少し工夫すると、自分が読んだ英文から単語問題を作る、会話練習をする、書いた英文を添削するといった練習ができます。

ただし、ChatGPTに「おすすめの教材を教えて」「英語を伸ばす計画を作って」と丸投げするだけでは、学習者のレベルや生活に合わない答えが返ってくることもあります。

英語力を伸ばす主役は、英語を読んだり聞いたり、自分で話したり書いたりする時間です。ChatGPTは、実際に取り組んだ英語を、自分専用の練習問題やフィードバックに変える補助役として使うと効果を発揮します。

この記事では、英語指導の経験とAIを使った英語学習の発信・講演経験をもとに、効果的な使い方と、そのまま使えるプロンプトを紹介します。

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ChatGPTで英語学習を始める前に知っておきたいこと

ChatGPTは、質問を重ねながら説明を分かりやすくしたり、自分の目的に合わせて練習内容を変えたりできる対話型のツールです。

英語学習では便利ですが、次の3点は最初に押さえておきましょう。

回答がいつも正しいとは限らない

ChatGPTは、文法・語法・発音・書籍名などを間違えることがあります。特に、細かなニュアンス、試験の採点、最新情報は、公式情報や辞書でも確認してください。

「ChatGPTが自然だと言ったから正しい」とは考えず、疑問があれば根拠や別の言い方を聞き、最後は信頼できる資料で確かめます。

機能や利用回数は変わる

ChatGPTはブラウザやアプリから利用できますが、音声など一部機能の利用条件や回数制限は、プラン・端末・時期・設定によって変わります。この記事では、特定のモデル名や料金を前提にせず、文字でのチャットでもできる学習法を中心に説明します。

教材を丸ごと貼り付けない

個人情報や公開してはいけない文章は入力しないでください。市販教材や有料記事も、全文ではなく、自分が確認したい短い範囲にとどめます。

英語学習プロンプトの基本形

良い回答を得るには、長くて難しいプロンプトを書く必要はありません。次の6項目を具体的にすると、学習に使いやすい回答になります。

伝えること 例
目的 多読で出会った表現を復習したい
現在のレベル 英語中級、IELTS 5.5程度
使う素材 下に貼る英文・自分の英作文・会話場面
してほしい練習 穴埋め問題を5問、会話を5往復
回答形式 表、日本語解説、1問ずつ出題
フィードバック 重要な間違いを3点だけ、理由つきで指摘

基本形は次のとおりです。

私は[レベル]の英語学習者です。目的は[目的]です。下の[英文・自分の回答・場面]を使って、[練習内容]を作ってください。[回答形式]で示してください。私が答える前に正解は出さず、回答後に[フィードバック方法]で解説してください。不確かな点は断定しないでください。

プロンプトの言語は、日本語でも英語でもかまいません。英語で指示すれば必ず精度が上がるわけではないため、自分の希望を正確に伝えられる言語を使ってください。

1. 読んだ英文から自分専用の単語帳を作る

ChatGPTに「中級者向け単語を20個教えて」と頼むより、実際に読んだ英文から、覚える価値のある語句を選ぶほうが学習につながります。

英文の中で出会った語句は、使われていた場面と一緒に思い出せるからです。

単語帳を作るプロンプト

私は英語中級者です。下の英文から、今後も使いやすい単語・句動詞・コロケーションを8個選んでください。①語句、②この英文での意味、③元の英文中の例、④簡単な言い換え、⑤注意点を表にしてください。珍しすぎる固有名詞は除いてください。

表を作って終わりにせず、復習問題も作ってもらいましょう。

選んだ8語から穴埋め問題を1問ずつ出してください。私が答えてから正誤と理由を説明し、間違えた語は最後にもう一度出題してください。

発音記号や細かな語法は誤りが混ざることがあるため、辞書の音声と用例でも確認してください。

2. 多読・ニュース記事の理解を深める

多読では、分からない箇所をすべて止まって調べる必要はありません。まず自分で読み、話の流れをつかんでから、重要な疑問だけChatGPTに聞きます。

読む前に背景を整理する

私はこれから[本・記事のタイトル]を読みます。内容の答えや詳しいあらすじは出さず、理解に必要な時代背景・場所・重要語を5点以内で説明してください。ネタバレは避けてください。

読んだ後に理解を確認する

下の英文を読んだので、内容理解の質問を英語で5問、1問ずつ出してください。私が英語で答えた後、内容が合っているかを先に判定し、英文の修正は重要な点だけ示してください。

最初から要約を読んでしまうと、自分で英文を理解する練習が減ります。自分で読む → 自分で要約する → ChatGPTの要約と比べるの順番にしてください。

英語多読の進め方は、次の記事で詳しく説明しています。

英語多読の効果とやり方|1日15分から続ける正しい方法英語多読の効果と正しいやり方を、レベル・時間・教材選び・辞書の使い方から解説。効果はいつから感じるのか、効果がないと感じる原因、100万語まで継続するコツ、洋書を読み切れないときの考え方も紹介します。...

3. 動画・音声をリスニング教材に変える

動画のURLを渡すだけでは、ChatGPTが内容を正確に確認できない場合があります。自分が聞いた範囲の文字起こしやメモを使うほうが確実です。

理解度テストを作るプロンプト

下の文字起こしは、私が聞いた英語音声の一部です。①大意を問う問題2問、②細部を問う問題3問を英語で作ってください。1問ずつ出し、私が答えるまで正解は表示しないでください。

聞き取れなかった部分を練習するプロンプト

下の英文を、意味のまとまりごとに区切ってください。音がつながりやすい箇所と強く読む語を示し、日本人学習者が聞き取りにくい理由を簡潔に説明してください。最後に音読用として、短いまとまりから全文へ3段階で並べてください。

ChatGPTの説明を読む時間より、同じ音声をもう一度聞き、実際に口に出す時間を長く取りましょう。

4. ChatGPTと英会話・ロールプレイをする

文字でのチャットでも、音声機能でも会話練習ができます。人を相手にすると緊張する方でも、同じ場面を何度でもやり直せるのが利点です。

会話が止まりにくいプロンプト

英語でロールプレイをします。私は[英語レベル]です。場面は[ホテルのチェックイン/同僚との雑談/仕事の電話]です。あなたは相手役をしてください。質問は一度に1つ、会話は5往復にしてください。会話中は細かく訂正せず、5往復の後に①通じなかった点、②優先して直す文法、③より自然な表現を合計3点だけ説明してください。その後、同じ場面をもう一度練習します。

話すたびに全部訂正されると、会話が止まり、言葉を出す練習ができません。最初は内容を伝えることに集中し、終わった後に重要な点だけ直してもらうのがおすすめです。

5. 瞬間英作文で文法を使う練習をする

文法は、説明を読んだだけでは使えるようになりません。学んだ項目を指定して、日本語から英語へすぐに言う練習を作ってもらいましょう。

[現在完了/仮定法/比較]を使う瞬間英作文を5問作ってください。日常で使える短い日本語を1問ずつ出し、私が英訳するまで模範解答は見せないでください。回答後に、①文法上の誤り、②意味が通じるか、③自然な別解の順で説明してください。

ChatGPTが作った模範解答は1つの例です。自分の英文が別の言い方でも正しければ、違いを説明してもらってください。

どの文法から復習するか迷っている方は、次のガイドを先に確認してください。

IELTS英文法
IELTS特化の英文法攻略ガイド!勉強法+レベル別参考書5選3,000人以上の日本人にIELTSを指導してきた講師が、効果的な英文法の参考書の選び方と具体的な勉強法を紹介します。IELTS対策で重要になってくる文法をどのように学習するかがわかります。...

6. 英語日記・英作文を添削する

ChatGPTに英文を渡して、最初からきれいな文章へ書き換えてもらうだけでは、自分で考える練習になりません。

指摘を受ける → 自分で直す → 最後に改善例を見るの順番にします。

下の英文は私が書いた英語日記です。全文を書き換えず、まず①意味が伝わらない箇所、②繰り返している文法ミス、③より自然にできる表現を合計3点まで指摘してください。理由は日本語で説明してください。その後、私が自分で修正するので、再提出するまで完成例は出さないでください。

自分で直した後は、修正前と修正後を比べてもらいます。

修正前と修正後を比較し、改善した点と、まだ直すべき点を分けて説明してください。最後に自然な完成例を1つ示してください。

7. IELTS・TOEIC形式の練習問題を作る

文法や語彙の反復練習として、試験に似た形式の問題を作ることもできます。

関係代名詞の使い分けを練習したいです。TOEIC Part 5に似た4択問題を5問、1問ずつ作ってください。私が答えた後、正解だけでなく、他の選択肢が不正解になる理由も説明してください。

IELTSライティングなら、答案を丸ごと書かせるのではなく、アイデア整理や自分の答案の見直しに使います。

下のIELTS Writing Task 2の設問について、賛成・反対の論点をそれぞれ2つずつ質問形式で引き出してください。私が答える前にアイデアや英文は提示しないでください。回答後、論点が設問に答えているかだけ確認してください。

ChatGPTが出すバンドスコアや「本番と同じ難易度」という説明は、公式の判定ではありません。試験形式の確認や反復練習に使い、最終的な評価とは分けて考えましょう。

ChatGPT英語学習で効果が下がる使い方

効果が下がりやすい使い方 改善方法
「英語を伸ばす方法」を丸投げする 現在の教材・学習時間・困っている点を伝え、1回の練習だけ作る
おすすめの本や動画を大量に出させる 信頼できる候補から、自分のレベルに合うか比較させる
英文を最初から全部書き直してもらう 間違いを3点だけ指摘してもらい、自分で修正する
回答をそのまま暗記する 辞書や公式情報で確認し、実際の文脈でもう一度使う
ChatGPTとのやり取りだけで学習を終える 読む・聞く・話す・書く時間を中心にし、AIは練習作成と確認に使う

30分でできるChatGPT英語学習の流れ

  1. 15〜20分:本・ニュース・動画などで英語を読んだり聞いたりする
  2. 5分:分からなかった表現や内容をChatGPTで整理する
  3. 5分:理解問題・会話・英作文のどれか1つに答える
  4. 2〜5分:重要な間違いを確認し、同じ問題をもう一度やる

ChatGPTを開いている時間を増やすことが目的ではありません。ChatGPTを使った後に、英語をもう一度読み、聞き、口に出し、書き直すところまでが学習です。

まとめ|ChatGPTは英語を使う回数を増やすために使う

ChatGPTは、英語学習者一人ひとりに合わせて問題や会話場面を変えられる便利な練習相手です。

一方で、教材の代わりにする、答えをすべて任せる、回答を確認せず暗記すると、英語を自分で処理する時間が減ってしまいます。

まず英語を読んだり聞いたりする。次にChatGPTで練習へ変える。最後に自分で話したり書いたりする。この順番で使ってください。

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プロフィール中林くみこ
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中林くみこ(Kumiko)。株式会社エヌファム代表、IELTS専門講師・著者。「KumikoのIELTSオンライン講座」を主宰しています。カナダで語学学校を10年経営し、IELTS対策をはじめ、TOEIC、英文法、ビジネス英語、翻訳、通訳、英会話など幅広く指導してきました。詳しいプロフィールはこちら
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