IELTSリーディングは40問で60分、と時間制限があるのですが、リスニングはただ音声が流れてくるのにしたがって解くだけなので、リスニングを解くにあたって、「時間の使い方」について考えたことは無いかもしれません。
しかし、それは間違いです。
本当は、リスニングでも、リスニングだからこそ、しっかりと細かく時間配分を決めて、戦略的に取り組んでいく必要があるのです。
この記事では、各パートの前後で設けられている準備時間や見直し時間の使い方とリスニングの全体戦略について書きます。
たくさん練習しても、どうしてもリスニングのスコアが上がらない方は、ぜひご参考になさってくださいね。
目次
あなたのリスニングスコアが伸びない理由

「リスニングのスコアが伸びません・・・」と相談されたことは今までに数限りなくあります。
そういう場合、多くの人は
「英語耳がないから(速い英語を聞き取れないから)」
と決めつけがちです。
もちろん、英語が聞き取れないから、という原因も少しはありますが、多くの場合、それは原因としてはとても小さいものです。
実際に、英語耳を伸ばすトレーニング以外のことを改善してもらったら、正解数が上がった、というケースはとても多いです。
この記事では、そういった改善ポイントの一つである、「時間の使い方」について書いていきたいと思います。
勉強してきているのに伸びない
この場合の問題は、「英語耳が無い」ということにこだわりすぎて(とらわれすぎて)、他の要素を完全に無視しているケースが多いことです。
速い英語を聞き取れる、ということは確かに必要なのですが、それ以外に重要なことがIELTSのリスニングでは存在するのです。
同じことがIELTSのリーディングでも言えます。
「速く英文を読むスキルを身に付けなくちゃ、解けない」という考えにとらわれている人が多いですが、IELTSリーディングでは、それだけでは解けません。
いうなれば二大巨頭みたいな感じなので、どちらかだけをやっても、目標に到達することは難しいわけです。
英語の聞き取りのトレーニングも続けつつ、この記事で書いていることも実践してみてください。
英語の初心者であるケース
たぶん、この記事を読んでいる人では少ないでしょうが、そもそもの英語の力が足りないこともありますので、まずはこれらの記事を参考に、自分に当てはまるかどうかを調べてみてください。


全体戦略

前倒しの姿勢をキープすること
これは、TOEICのリスニングでもまったく同じことが言えるのですが、音声が一度聞き取れなくて、それにこだわってしまうと、音声がどんどん流れていってしまうので、後がグダグダ(なし崩し)になる・・・
ということは、よく起きます。
あなたにも経験があるのではないでしょうか。
逆にいうと、それを防ぐこと、つまり音声に振り回されるのではなく「次!次!」という「前倒し」の姿勢をキープすることができるだけで、正解数は大きく変わってきます。
どうやって前倒しにするかというと、聞こえなかった問題はあっさりと切り捨てる、あきらめるということです。
これは、言うのはカンタンですが、実践はとても難しいので、訓練が必要です。
練習問題を解いている時に、ただ漫然とやるのではなく、「前倒しの姿勢をキープできるようにする」といったようなテーマをもって実践してみてはいかがでしょうか?
メリハリをつける
リスニングでは、一気に音声が流れて1回しか聴くチャンスがありません。
そのため、しっかりと聴きとって同時に解答しないといけないわけですが、しかし、人間の集中力はそんなに持ちません!
ペラペラと流れてくる音声をすべて聞き取る、ということは普通無理なわけです。
そして、「書き取り」みたいな試験ではないので、すべて一言一句聞き取る、ということは求められていません。
ということで、メリハリをつけることが必要です。
- 聞かなくてよいところは聞かない
- 聞かなくてはいけないところは集中して聞く
ということです。
聞かなくてはいけないところは、どうやって見極めるのか?
それは、事前のリーディング(先読み)以外に方法はありません。
IELTSリスニングでは、音声が流れてくる前に準備時間が与えられるわけですが、この時間に、
- 質問を読み
- どういった単語が空欄に入るか(時刻、日付、場所、などなど)
- 言い換え表現の予測
などの作業が必要です。
この準備をやらないと、音声の途中で集中力が途切れ、雑音にしか聞こえなくなり、あわてて、聞こえてきた単語が書いてある選択肢をなんとなく「これでいいや!」と選ぶ・・・
ということになります。
音声はすべて集中して聞かないこと!
メリハリが重要ですよ。
下の章で、それぞれの準備時間で何を読むか、何をするかということについて具体的に書きますのでご参照ください。
それぞれの準備時間の使い方

パートの説明があった後の準備時間
各パートに入ると、最初に音声でそのパートの問題についての簡単な説明があります。
パート1
パート1は、リスニング全体の説明もあるので少し長めです。2019年以前は、親切にも、サンプル問題の読み上げなどもありましたので、かなり時間はありましたが、もう無くなってしまいました。
ただ、少し長めであることは確かですし、パート1は読むところも少ないので、余裕がある人は、パート2の先読みもここでしてしまいましょう。
特に7.0以上を目指す人は、その作業は必須かと思います。
ただ、パート3、4などあまり先まで進んで先読みをしても、内容を忘れてしまったり他のパートと混同してしまうため、避けたほうが良いようです。
さらっと全体を見るくらいでとどめておきましょう。
パート2~4
パート2~4の準備時間では、基本的にそのパートの先読みに集中しましょう。
今までの経験では、あまり先に進みすぎても、良い結果にはならないようです。
地図問題
パート2の地図問題では、
どういった建物があるのか
東西南北の方角
シチュエーションやストーリーはどういうものか
ということを先読みで確かめます。
パート3の人物マッチング問題
意外に見落としがちな箇所ですが、人物マッチング問題では、下記の図の中で、赤で囲ってある文章を必ず読んでください。
毎回違う文章ですし、シチュエーションについての説明がありますので、全体像をつかむのに非常に役に立ちます。

あとは、四角の中にある選択肢を読み、他の選択肢と違う要素があれば、それに下線を引いておきます。(上の画像では単語だけなので該当しませんが)
パート3の選択肢問題
選択肢問題は非常に難しいです。リスニングの最大の難関といえるでしょう。
目標スコアが6.5までの場合は、この選択肢問題は半分以下の正解数を目指すのがベストな戦略です。これに時間とエネルギーを取られるのは、他の問題に影響を与えるので良くありません。
つまり、先読みの時間では、これと決めた問題のみ先読みをして、残りの問題はカンで解きます。
他に取れそうな問題に時間をエネルギーを注いだほうが良いでしょう。
7.0~7.5を目指す場合でも、無理に克服しようとせずに、1~2問は間違っても良い、と開き直ることも重要です。
パートとパートの間
各パート(セクション)の間には、約30秒の空白があり、音声では、終わったパートの「見直し」をするように言われます。
しかし、上で言ったように、IELTSリスニングでは、常に前倒しの姿勢をキープしたいです。
なので、パート4の音声が終わるまでは、「見直し」はせずに、次のパートの先読み時間に充ててください。
つまり、
パート1と2の間の時間は、パート2の先読みをする、
パート2と3の間の時間は、パート3の先読みをする、
パート3と4の間の時間は、パート4の先読みをする、
という具合ですね。
それぞれのパートの説明が終わった後の先読み時間と合わせると、合計1分間の先読み時間がある、ということです。
パート1、2、3では、これに加えて後半の問題の先読み時間もありますが。
最後の見直し時間
ペーパーベースの場合
IELTSのペーパーペースの試験では、リスニングの一番最後に10分間与えられます。これは「書き写し」のための時間です。
問題集に書き込んでもいいことになっていますので、音声を聞きながら問題集に書き込んでいった解答を、この時間を使って解答用紙に清書していくわけです。
この時間のときに問題について「再度考える」ことをやる人も居ますが、それでは10分という時間はあっという間に過ぎてしまいます。
この10分は、素直に「書き写し」の時間として使うべきです。
後で考えても、音声の内容を覚えていない確率が高いですし、あまり効果がありません。
その代わり、音声を聞きながら問題を解いているときは、「綺麗さ」「読みやすさ」を徹底的に排除し、「自分さえ読めればいい」という考えで書いていきます。
たとえば、「Australia」という単語が解答であった場合、「Rだっけ?Lだっけ?」と考えることはしないようにします。
カタカナで「オース」などと走り書きしておいて、この10分間の清書のときに、改めてゆっくりスペルを考えるようにします。
コンピューターベースの場合
コンピューターベースの試験の場合には、最後に2分間の見直しの時間が与えられますが、この場合、ますます短いので、再度考えるなどということはやってはいけません。
スペルチェック、単複の見直しがせいぜいでしょう。
欲張らずに、その二つを念頭においてしっかりと見直しましょう。スペルミスでも1問の間違いは1問の間違いです。
最後に

時間の使い方は、今までの経験から、一番良いと思われる方法を書いています。
ただ、私がいつもIELTS学習者に伝えたいのは、こういった方法を丸ごと鵜呑みにするのではなく、自分に合った方法を試行錯誤して見つけてほしい、ということです。
人の性格、問題への取り組み、スキルなどは千差万別。
参考にしつつも、色々アレンジを加えて、自分のベストなやり方を試験までに見つけてほしいです。
練習問題はそのためにやるといっても過言ではありません。
なんとなく練習問題の数をこなしても、スコアは伸びません。
「今回これをやってみて、あまりうまく行かなかったから、次回はこうしよう」
「今回これをやってみて、うまく行ったから、次回も続けよう」
というようにテーマを決めて、取り組み、振り返りを行いましょう。
しっかり紙に書いて振り返りましょう。頭の中だけで考えていてもなかなかうまくいきません。
ぜひお試しください。

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