「文脈で覚えるIELTS英単語」アゴス・ジャパン著のレビューと効果的な使い方について書きます。
この記事を書いた人
IELTSの教材・参考書・テキストなど、洋書のものを合わせて100冊程度見てきた、教材オタクの私がお話ししていきます。
基本情報
アゴス・ジャパンという試験指導の専門学校の講師が作った単語集です。
2019年2月出版→2024年2月29日に改訂版がGakkenより出版されました。
価格は、2,090円です。
上記はアフィリエイトリンクです。
サイズ
ページ数は352ページなのでちょっと薄め。
サイズもB6サイズというか、少し小さめなので、持ち歩きには適しています。
収録単語について
見出し語1,400語+類義語3,200語=合計4,600語
(Amazon.co.jpから画像をお借りしました)
単語部分の表示:
- チェックボックス
- (その文脈での)意味
- 発音記号
- 品詞のアイコン
- 類義語1~4個(平均2個)
- 類義語の例文とその日本語訳
英文パッセージについて
Part 1には、IELTSリーディングを模したパッセージ(文章のカタマリ)が52個、記載されています。
英文のレベルとしては中級くらいですが、英語圏のニュースもこんな感じです。
当たりまえですが、文法の間違いなどもなく、読みやすい英語です。IELTSリーディングの入門には、ピッタリです。
音声データについて
音声はCDではなく、データをウェブ上からダウンロードするようになっています。インターネットにアクセスできれば、誰でも簡単にダウンロードできます。
音声の内容:
- すべての英文(英語)
- すべての見出し語と意味(英語・日本語)
- すべての類義語(英語)
- 類義語の例文(英語)
この音声データはなかなか充実していて、役に立ちます。詳しくは、後で説明します。
特徴
Part 1はリーディング、Part 2はライティングTask 1、Part 3はライティングTask 2、Part 4はスピーキングに効くようになっています。
つまり、
Part 1
リーディングのパッセージに似た英文
Part 2
ライティングのTask 1の解答文章(模範解答)みたいな英文
Part 3
ライティングのTask 2の解答文章(模範解答)みたいな英文
Part 4
スピーキングの解答文章みたいな英文(おもにスピーキングのPart 2ですね)
というような内容です。
良いところ
① 文脈で覚えられる
このテキストの大きな特徴であり、ウリになっているところです。
おそらく、IELTS講師や英語講師のほとんどが、「単語は文脈で覚えるのが効果的である」と思っているはず。
でも、日本で売られている英語の単語集って、とにかく「意味を覚えれば良いのよっ!」とばかりにゴリゴリと数を増やしていく目的のものがほとんどで、けっこう矛盾を感じている講師が多いと思います。
単語数が多いほどウケも良いでしょうし、「とにかく単語数を増やせばスコアが上がる」という学習者側の誤解も原因としてあるでしょうね・・・。
「単語集は単語の数で勝負」みたいな日本の市場の雰囲気の中、このような単語集を出すのは、賞賛に値すると思います。
特に、リーディングが苦手な方、国語が苦手な方にはとても有意義なテキストでしょう。
②「読むこと」の入門ができる
正直、IELTSのリーディングのパッセージと比べると、このテキストの掲載されているパッセージの量は半分以下です。
ですが、英文を読む、ということにそもそも慣れていない人が圧倒的に多いので、「読む」ことの入門として良いと思います。
IELTSリーディングを解いてみたけど、難しすぎてどこから改善すれば良いのやら、という悩みを持っている人にも良いですね。
また、英文を読み上げた音声もダウンロードできるので、「聞きながら、読む」ということが実践できます。
この方法は上級者でも実践している人が多く、多読がとてもやりやすい方法と言われています。
③ 必要な単語がピックアップされている
IELTSリーディングの問題をやったときに、「わからない単語が多すぎる・・・!」とショックを受ける人は多いと思います。
そこで、真面目な人は、わからない単語をぜんぶピックアップして、覚えようとしたりするのですが、実はこれはとっても効率が悪いのです。
というのも、IELTSリーディングは、本文パッセージ中にわからない単語があっても、満点は取れます。
つまり、覚える必要のない単語がたくさんあるということです。
しかし、英語の勉強に慣れていないと、イマイチどの単語をピックアップするかわからない、という人もたくさん居ると思いますので、そういった人にはこのテキストはお勧めです。
このテキストでは、「必要な」単語は右側に別途覚えるべき単語としてリストされており、覚える必要はないけど、意味がわからないであろう単語や、リーディングでは出る確率も高いよ、という単語は「注意語」としてパッセージの下に黒字でまとめられています。
まぁ、はっきり言って、自分で多読をして、その中から必要そうな単語だけノートに書きだして覚えると良いのです。
ただ、真面目な人は、どうしても「厳選して」覚えるということができないことを、私も経験から知っています。「マインド」の問題なのです。
そのマインドから脱出するためには、このように、あらかじめ単語を選んでくれているテキストというのは、とても役に立ちます。
ここからリーディングの入門を始めて、その他のテキストなどを使った多読に移行していくと良いでしょう。
正直4,600語でもかなり多いと思うので、息切れしそうな人は、まずは類義語は置いておいて、見出し語のみ覚えてみましょう。類義語については、後述します。
④ トピック別になっている
私がこの単語集を手に取った理由の一つです。
以前からずっと、「トピック別」の単語集が日本には少ないなぁ、と思っておりました。一方、洋書の単語集はトピック別にまとめられているものがほとんどです。
私は個人的に、トピック別に単語を覚えていくと、記憶が定着しやすいと思います。
また、IELTSのスピーキングとライティングの対策、特にライティングには、トピック別の単語が必要です。かなり細かい専門用語は必要ないのですが、ある程度の専門用語は必要です。
どういうことかというと、例えば「裁判」をテーマとする問題文があるとします。
法の専門家ではなくとも、日本語であれば
- 刑罰
- 告訴する
- 陪審員
- 検察
- 被告、原告
といったような、ある程度の単語は知っていて、使えますよね?
でも、弁護士や検事など法の専門家が使うような、専門用語はわかりませんよね?
同じことが医療やITやビジネスといった分野でも言えると思います。
IELTSのライティングやスピーキングで求められるのは、そういった、「専門職の人ではない、一般の人」が知っているような単語を使って自分の意見を表明することです。
こういった単語って、日本語ではわかるものの、英語では知らなかったりします。そして、「知らなければ、その分野については全然語れない」というものでもあります。
だから、こういったトピックに特化した単語って絶対に覚える必要があるのです。
⑤ 音声が充実している(文章の読み上げも含まれている)
個人的にはとても音声データのポイントが高いです。
文章の読み上げもあるのは、良いですね!
上で書いたように、リーディングの入門として、音声があるとかなりの助けになります。
また、私がいつも推奨している、「スキマ時間」での勉強に最適です。
⑥ すべての単語に類義語が付いている
これは、IELTSの単語集として、必須です。
IELTSでは、全ての技能で、類義語・同義語の知識が必要になってきますので、IELTSの対策をし始めたらすぐに、類義語の意識をしてほしいです。
ただ、多少、無理やりな感はあるかなと・・・
類義語って難しいんですよね。私もIELTSの単語集を作っていますが、類義語がどうにも当てはまらないものもあります。
⑦ Kindle版がある
改訂されて、Kindle版(電子版)も出来ました。これは私の中でかなりポイントが高いです。
単語集って、テキストの中でもモバイル性(持ち歩きができる)が重要ですよね。絶対にKindle版って必要だと思うんです。
Kindle端末だけではなく、スマホのKindleアプリがあれば、すぐにダウンロードできますし、写真にとって画像データにすれば、タブレット等で書き込みもできますよ。
こんな人に向いている
この単語集を買うべきなのは、こんな方でしょう。
- リーディングが苦手。特に、わからない単語を前後から類推できない。
- リーディングで出てきた単語で、どれが覚えるべき単語なのかわからない。
- 基本的な単語は覚えたが、実際にそれをスピーキングやライティングで使うことができない。
- 「文脈で単語を覚えろ」と言われるが、どういう意味なのか、どうすれば良いのかわからない。
- シャドーイングやディクテーションに慣れてきたので、ちょっと難しめの教材を使いたい。
- IELTS対策をある程度やってきて、自分の苦手がわかっている。
これでもわかるように、わりと具体的な悩みを持っている方におススメできるテキストです。
効果的な使い方
(↑Amazon.co.jpから画像をお借りしました)
このテキストが推奨している使い方は、下記のようになっています。
Step 1 英文を読む
Step 2 単語を覚える
Step 3 英文を繰り返し読む(音読する)
しかし、私が使うとしたらちょっと違います。
私が考える、効果的な使い方を補足して書いていきたいと思います。せっかく買ったのなら、使い倒しましょう。
Step 1 音声を聞く→内容を要約する
テキストを読む前に、まずは英文の読み上げを聞いてみます。
大多数の人は、目よりも耳が弱く、そして要約のスキルはIELTSで必要とされるわりに、できない方が多いので、チャンスがあれば要約をやるべきです。
Step 2 英文を読む(単語はわからないまま)
今度は英文を読み、また内容を要約してみます。
要約の内容は、Step 1と変わってくるかもしれません。これを分析すると、自分が耳で認識する英語と、目で認識する英語が違ってくるのがわかります。
Step 3 単語を覚える、日本語訳を読む
このステップは日本人が好きな(?)ところだと思います。
右側にあるリストから自分のわからない単語を拾い出して覚え、パッセージは日本語訳を読んでわからない箇所をゼロにします。
Step 4 ディクテーションをする、シャドーイングをする
せっかく読み上げの音声もありますし、こういった教材があったらディクテーションやシャドーイングのチャンスと考えます。
実際のIELTSのリスニングの問題は、難しすぎて、シャドーイングやディクテーションには向きません。
そういう意味で、下記↓の記事で紹介している易しめの教材からちょっとステップアップしたい人にもお勧めです。
Step 5 単語ノートを作る、何度も反復して覚える
こちらの記事で書いているように、オリジナルの単語ノートを作り、暗記し、反復する、という作業を繰り返してください。
Step 6 スキマ時間に、読みながら音声を聞く
下記の記事で書いていますが、通勤時間、お風呂の時などに、音声データを聞きながらスクリプトを読み、耳で聞こえる情報と目で認識する情報とを一致させる作業をします。
Step 1~6までこなせば、相当な力がつくはずですよ!!
まとめ
とても良い本です。
IELTSのことを良く知らないまま、ただ単語を羅列しているようなテキストもある中、この本は丁寧に作られており、学習者への「愛」を感じます。
この記事を参考に、悩みに合わせて使うと大きな効果を発揮する本です。
これから本気で、IELTS対策を始めていくぞ!という方には、まず下記の7日間メール講座を受講してほしいです。
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独学のスタートにぜひどうぞ!