シャドーイングを私がレッスンに取り入れたのは、15年ぐらい前でしょうか。
そのころは「シャドーイングとは?ハテナ?」という人が多かったですが、最近は、実践している方が多いようですね!
シャドーイングは、英語の学習法の中で「最強」と私は思っているほど、絶大な効果が期待できるものでもあります!
でも、シャドーイングは、やり方を間違えると効果が半減します!
これは、何千人の英語学習者を見てきて、実感してきたことです。
間違ったやり方をやって「効果が出ない」と言っている人がとても多い!
実は、もともと通訳を目指す人のための勉強法というかトレーニング方法なので、ちょっとやり方が難しいんですよね。
この記事では、シャドーイングの効果、具体的なやり方とコツ、注意点、お勧め教材も紹介しております。
きちんとした手順でシャドーイングをで取り組んでみたいという人は、私の書籍もぜひ手に取ってみて下さいね。
シャドーイングとは
英語の音声から1語程度遅れて、その音声をそっくりそのまま真似て発声していく、という勉強法です。
ディクテーションと同じで、いやそれ以上に、時間もエネルギーも大きく費やすトレーニング法です。
しかし、どちらも正しく続ければ驚くほどの効果が出るものです。
ディクテーションについては下記の記事をどうぞ。↓
シャドーイングの効果
シャドーイングの効果は4つあります。
1. リスニング
シャドーイングの大きな効果のひとつは、「音声知覚」を集中的に鍛えられる点にあります。
英語のリスニングは、「聞こえてくる音を正確に捉える音声知覚」と、「その音をもとに意味を理解する意味理解」という2つの段階で成り立っていますが、多くの学習者は最初の音声知覚の段階でつまずいてしまいます。
音が正しく聞き取れていない状態では、その先の意味理解も安定しません。
リスニング2つの段階
・1つ目の段階:音声知覚
→聞こえてくる音を正確に捉える
・2つ目の段階:意味理解
→聞き取った音をもとに意味を理解する
音声を聞いた直後にそのまま発話していくことで、「音を正確に捉えること」に強制的に意識が向きます。
意味をじっくり考える余裕はなく、耳から入ってきた音をそのまま再現することが求められるため、結果的に音の認識精度が高まっていきます。
このトレーニングを繰り返すことで、英語の音を単語単位ではなく「かたまり」として捉えられるようになり、音の変化やリズムにも自然と対応できるようになります。
やがて、音声知覚の処理が自動化され、無意識レベルでもスムーズに音を捉えられるようになっていきます。
2. 発音
正しい発音を学びたい場合、とにかく通じる発音を学びたい場合、ネイティブの発音に近づけたい場合など、色々な段階でシャドーイング勉強法は効果を発揮します。
3. スピーキング
シャドーイングで、スピーキング力が伸びる理由は、下記です。
- フレーズのカタマリを覚えられる
- 正しい文法(単語の並び方、構文)が自然な形で覚えられ、実践できる
二つとも根本は同じなのですが、文法のルールだけ覚えても、実際にスピーキングで速く文章を組み立てる、ということは難しいと感じている人が多いです。
そこで、「文法のことは考えない!」とか「日本語ではなく英語で考えろ!」とか指導されることが多いのですが、大人から英語を始める場合は、文法は絶対に必須ですし、日本語で考えることを止めることはほぼ不可能です。
そして、その必要もありません。
じゃあどうやって速くしゃべれるようになるか?というと、脳内でこの作業をします。
文章をカタマリで覚えて、それをキレイに整頓した状態で(脳の中に)置いておいて、必要に応じて出す。
その「覚えて、整頓」の作業がシャドーイングと言えます。
こちらの記事もご参照ください。
4. 全体的な英語の処理能力
シャドーイングは、発音や会話力に効く、と考える方が多いですが、実は、全体的な英語の処理能力もアップします。
つまり、聴いたり読んだりしてすぐに理解していく、という意味ですね。
なので、リスニングやリーディングのスキルをアップさせたい方にも有効です。
これは実際に自分でも実感しましたし、今まで私が指導してきた人でも数多くの人に効果が上がるのを目撃してきました。
しかし、冒頭でも言ったように、間違ったやり方でやると、ほぼ効果がでないです。
どれくらいで効果が出る?
シャドーイングは、というより、英語のどんな学習法も同じなのですが、1日やったくらいじゃ効果は出ませんので、毎日30分×3か月は続ける必要があります。
時間がある時にちょっとやろうかな、というように、スポット的にやっても効果が薄いので、毎日やってくださいね。
そのため、シャドーイングを始めようとなったら、まずはしっかりそのための時間を1日のルーティンの中で決まった時間に確保する、ということをやってください。
これは「環境整備」と私は呼んでいますが、はっきり言って、英語を続けていく上で最重要と言っても過言ではありません。
これについて、詳しくは下記の記事をご参照ください。
シャドーイング勉強法が向いている人
シャドーイングを使って英語を勉強するのに向いているのは、こんな人です。
レベル
英語の初級者の方には、あまりお勧めできません。
英語を始めたばかり、という方は、まず、このような順番で進めてください。
- 単語を覚える
- 文法を一通りさらう
- 瞬間英作文(初級)
簡単な文章を、時間がかかりながらでも作れるようになってきたら、シャドーイングもトライしてみてください。
逆に、レベルの上限はありません。私自身は、英語の上級者と言えると思うのですが、今でも時々シャドーイングをやっています。
初心者が最短で英語をしゃべれるようになる勉強法について詳しく書いています↓
英語の悩み別
私が実際に「シャドーイングをやったほうが良いですよ」とお勧めするのは、こんな悩みを相談された時です。
- しっかり文法ルールは理解したけど、いまいちそれを実際の会話に適用できない
- 会話の実践や英会話レッスンなどは最低限で、できるだけ英語は独学で身に付けたい
- 会話ではいつも聞き役になってしまう。文章の組み立てがなかなかできず、口から出てこない
- ネイティブ発音にしたい。発音記号は覚えたし個々の音の発音はできるけど、話す時にネイティブっぽくならない。
上に当てはまる人は、シャドーイング学習に向いています。
性格別
性格って軽視されがちですが、実は英語の学習を継続していく上で、自分の性格を把握して、それに合った学習法を見つけるのってすごく大事なのです。
性格的に、シャドーイングが向いているのは下記のような人です。
体育会系
「今、勉強している!と実感したい!」「努力と時間を費やすのは構わないから、しっかり効果を実感したい!」というような、やる気のあふれた体育会系の人
早く効果を実感したい
楽しんで長く続けていくというよりも、努力はしても良いからできるだけ早回しで効果を実感したい人
どちらかというと、マジメで頑張り屋さんに向いている感じかと思います。
何をやるか、というのがはっきりと決まっている勉強法なので、(特に理系の方に多いですが)あいまいなことをずっと続けることが性に合わない、という人にも向いているでしょう。
例えていうなら、「日常の全体的に運動を増やしてよく動くようにしたら、体力がついてくるよ」というようなアドバイスが嫌で、「○○という筋トレを1日に〇回やりなさい!」と言われるほうが頑張れる、という性格の人ですね。
シャドーイング勉強法が向いていない人
上で書いたような「向いている人」に当てはまらない人、と言えますが・・・
日本人としてはどちらかというと例外的ですが、このような人は、あまり向いていないといえます。
- 実践で英語を学んでいきたい人
- コツコツ努力するより、人と話すことで伸ばしたい人
- 文法などを考えるのが苦手な人
シャドーイングは「トレーニング」なので、多読や多聴といった自然な英語習得法のほうを好む人も居ると思います。
ただ、多読や多聴は年単位で続けていくことが必要なので、努力の「量」により、伸びを早回ししたい人のほうが向いていると言えるでしょう。
シャドーイング勉強法に必要なもの
シャドーイングをするにあたって、下記のものを用意しておきましょう。
教材
シャドーイングの教材の選び方とおススメの教材を、この記事の最後にまとめていますので、ご参照ください。
音声プレーヤー
これは、教材の音声の形によると思います。CDであれば、CDプレイヤーやCDが再生できるPCが必要ですね。
今はデータ配布の形が多いですが、その場合はPCやスマホで再生できますね。
シャドーイングは、何度も止めたり再生したりといった作業が必須なので、私はスマホやタブレットをお勧めしたいです。
つまり、教材がCDであったとしても、それをデータとして保存してスマホで再生できるようにする、ということですね。
ボイスレコーダー
これには色々な意見があると思いますが、私は、シャドーイングにあたって、必ず自分の声を録音すべき!という考えです。
わざわざ買う必要はなく、スマホやPCに元々から基本設定で付いていますので、それを使いましょう。
シャドーイングの具体的なやり方
ここでは、実践的な6ステップを紹介します。
STEP1:リスニング&要約
英文を見ずにリスニングのみ行います。
内容を聞き取り、日本語で1文程度の長さに「要約」してみましょう。そして、要約の内容が合ってるか(7割程度でOK)日本語訳を見て確認します。
リスニングのみ行うのは2つの目的があります。
- 慣れておく
- 緊張感をもつ
精読・精聴は大事なのですが、緊張感をもった一発勝負の練習もしておかないと、実際の会話の状況だったり、リスニングのテストの時に、うまく聞き取りができなくなってしまいます。
STEP2:意味の確認
実際にシャドーイングを始める前に、必ずその文章の意味を理解しておいてほしいです。
私の意見では、意味がわからないままシャドーイングをやっても、効果が半減します。
最後に日本語訳があればそれと照らし合わせて、文法や表現などでわからない箇所はすべてクリアにしておきましょう。
STEP3:リピーティング (最大2回)
英文を見ながら音声を聞いてリピートします。1文ごとに音声を停止し、そのまま真似して復唱してください。
音の変化を意識して発音します。息継ぎやイントネーションも意識しましょう。
STEP4:見てシャドーイング (最大3回)
英文を見ながら音声を聞き、シャドーイングします。
まずはスクリプト(台本)を見ながら、音声の1語分くらい遅れて、影のように、音声をコピーしていきましょう。
- イントネーション
- 強弱
- リンキングと間の取り方
- 息継ぎの仕方
などを含め、「完全に」コピーです!物まねです!
最大3回まで行なってください!
もし、3回やっても音声にまったくついていけない、という場合は教材が難しすぎますので、変更しましょう。
STEP5:見ずにシャドーイング(最大3回)
英文を見ないで音声だけを聞き、シャドーイングします。
自分の記憶ではなく、音声を頼りにします。
1回見ずにやってみて、難しいようなら次は見ながら。そしてその次は見ずに。というように交互にします。もしいけそうなら次も見ずに。
これを繰り返し、目安として3回くらい連続で、見ずにやります。
もちろん、この間も、機械作業にならないように!
なぜ回数制限を設けているのかというと、同じ音源を繰り返しすぎると内容を暗記してしまい、音をしっかり聞かなくてもシャドーイングができてしまうからです。それでは、「リスニング力」が伸びにくくなります。そのため、もう一度取り組みたい題材があれば、時間を空けてから改めて戻ってくるようにしましょう。
STEP6:自分の声を録音する
それが終わったら、一度自分の音読を録音しましょう。
お手本の音声を流しながらだと、後で聞いたときに音が重なって聞きづらいので、音声は流さずに録音します。
このとき、音声は流れていませんが、完全コピーを意識したままにしてください。
その録音を、1文ずつ、お手本の音声と交互に聞いて比較していきましょう。
気づいたことがたくさん、あると思います。気づいたことが多すぎて覚えきれない場合は、メモしましょう。そして、次に進む前に、そのメモを見返しておきます。
これらのことを意識せずに回数だけ10回、20回とやっても意味がないので、シャドーイングとはいえ、自分で話しているかのようにずーっと意識を高くもち、疑問を持ち、考えながら行ってください。
かなり疲れると思いますが、効果が出るのが速くなりますよ!
効果が出ない人はこれをチェック
シャドーイングを一生懸命やっているのに、2~3か月経ってもイマイチ効果が実感できない・・・という人のために、自分で振り返ってチェックできる項目を作ってみました。
参考にしてみてください!
暗記をしてしまっている
レッスンで実際にこれをやっている方を多数目撃しました。
一生懸命やりすぎて、何度もやるうちに暗記をしてしまい、音声が来るのとほぼ同時くらいに言ってしまう、つまりほぼ音声を聞いていないわけですね。
何故、シャドーイングで「暗記をすること」がダメなのか?
それは、音声のイントネーションや強弱、息継ぎのタイミングなど本来シャドーイングで完全コピーしてほしい項目を無視して自分の英語の話し方で、普通に音読をしてしまうからです。
それだと、「音読」であって、シャドーイングではありません。
もちろん音読も英語に効くのは効くし、暗記することも良いことなので、否定しませんが、自分のやっていることはシャドーイングではない、と認識したほうが良いです。
また、暗記した文章を音読していることで、機械作業になってしまう、というデメリットもあります。
つまり音読をしながら、他のことを考えたりしている、ということです。仕事のことだったり、今日の夜ご飯のことだったり・・・笑
これだと、本当に効果が半減します。
本来は、シャドーイングをすることで、完全コピーをして、している間は
- この文法や単語は自分で使えるかな?
- ここで息継ぎをするんだ。
- 強弱はここに置くのか。
- この単語とこの単語をつなぐのか(リンキング)。
など、色々なことを考えて、学びながらやるのがベストです。
暗記をしてしまう原因
答えは簡単。教材が難しすぎるのです。
繰り返しますが、英文を一目見て「簡単だな」と思えるくらいのものを使ってください。
一番下の章で具体的にお勧めな教材をご紹介しています。
完全なコピーになっていない
これもよくあるケースですが、「コピーすること」を意識せずに、いつのまにか自分が音読をしているだけ、というのと変わらない状態になっていませんか。
シャドーイングの本来の目的というかコンセプトというのは、「音声を完全コピー」ということなんですよね。
完全コピーというのは、これらを含めて真似するということです。
- 文法と単語の使い方
- 強弱の付け方
- イントネーション
- 声のトーン
- 息を吸うところ
なんなら、その人の声も真似てしまう。「モノマネ大賞」という感じです!
完全なコピーにならない原因
難しすぎる教材だと、それができません。
そこまでの余裕がないので暗記したものをただ読む、というようになったり、そこまでやろうとするとものすごい時間と労力を必要とするので、嫌になって続かないという…。なので、簡単な教材、が必要です。
そして、時々録音して、音声と自分のシャドーイングがどれだけ違いがあるかを時々チェックしましょう。
英語シャドーイングのお勧め教材
教材の選び方
まず第一の条件は何といっても、教材が難しすぎないこと!これに尽きます。
難しすぎない、というより、「簡単だな」と思うくらいの教材が良いです。
教材が難しすぎると、こういうことが起きてしまいます。
- 完成までに時間がかかりすぎる
- スピードについていくのに必死すぎて他に何も考えられない
- 最終的には文章を暗記して、機械作業になってしまう
文章を暗記するのにもそれなりに利点はありますが、機械作業になるのは本当によろしくないです。
シャドーイングの教材は「スクリプトを読んでさっと意味がわかる」くらいの簡単さのものをお勧めです。
また、1個1個がそれほど長くないものだと継続しやすいです。
初級者の場合
初級の人には、上で言ったように、シャドーイングはお勧めできません。
時間は多少かかっても、文章が組み立てることができるくらいになってから、シャドーイングにトライしてみましょう。
このレベルを「初中級者」とここでは呼びます。
初中級者におススメのシャドーイング教材
初中級者は一番、難しい教材を使ってしまいがちかもしれません。
そもそも、このレベルでは「シャドーイング」という勉強法自体がかなりハードなので、とにかく1回分が「短い」ことを重要視しましょう。
下記に具体的なお勧め教材を挙げておきます。
はじめての英語シャドーイング
こちらは、私が執筆したシャードーイングのテキストです。
文章を読んだら意味が分かるのに、英語を聞くと全く意味が分からないという、日本人学習者によくある悩みを解決できる本です。
連結、消失、フラッピングなどを練習できるテキストで、シャドーイングを基礎からしっかり身につけたい人に、ぜひ手に取ってもらいたいです。
※私のアフィリエイトリンクになっています。
中級者におススメのシャドーイング教材
中級者の定義としては、TOEIC700~くらいでしょうか。
実はここでお勧めする教材は、ディクテーションの場合であれば初級者や初中級者におススメするものなのですが、シャドーイングの場合は、とにかく一目見て「易しい」と思うものを使うことが重要なので、1段階レベルを下げています。
実際に中級者の方にこれをお勧めすると「簡単すぎる」というように言われることが多いのですが、実際に、これくらい易しいものを使って大丈夫です!
みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング
これは私が色々なところでお勧めしている教材です。
なんといっても、シンプルなところが良い。
そして、1回分が短いという条件も満たしています。個人的にはとても丁度良い量。
10秒リスニング
シャドーイングに慣れてきたら、こちらの教材を使うのも良いでしょう。
上級者におススメのシャドーイング教材
たとえ、上級者であっても、難しい教材を使うことは決してお勧めしません。
例えば、TedやBBCといった、息つく間もなく、まくしたてるようにしゃべっている教材は、しんどすぎて、効果が無くなります。
上級者であっても、「中級者におススメ」と上で言っている教材を使っていただいても、何の問題もありません。
シャドーイングを行いながら、意識するところを細かくすれば良いのです。
例えば、文法を意識するのでも、単にルールを学ぶだけではなく「自分でこの文章は作れるかな」というように考えながらシャドーイングをするのでは、かなり違ってきます。
自分のレベルよりもかなり易しい教材を使うことで、細かいことに気づけます
また、海外ドラマを使ったシャドーイング、つまりセリフを言ってみる、というトレーニングもかなりお勧めです。
この動画では、国山ハセンさんに、海外ドラマ「フレンズ」の学習法について、お話ししています。
シャドーイングは、英語がペラペラになるのに非常に良いトレーニングですが、そのほかの方法について知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
「独学でIELTSの目標スコアを取る方法」では、IELTSを「独学で」勉強して結果を出す方法を具体的に解説しております。
独学のスタートにぜひどうぞ!





