IELTSスピーキング(Speaking)

シャドーイングを教えて20年でわかった、効果を最大化する正しいやり方

英語学習シャドーイング

シャドーイングのやり方について、これを読めば大丈夫という内容を書きました。

私は20年ほど前から英語レッスンにシャドーイングを取り入れ、学習者の効果・変化を見ながら、練習手順を何度も改良してきました。

その中で分かったのは、シャドーイングは「やれば伸びる練習」ではなく、「正しい手順でやると伸びる練習」だということです。始め方を間違えると、せっかくの時間が、ただの音読や暗記で終わってしまいます。

  • 難しすぎる教材を選んでしまう
  • 何度も繰り返すうちに暗記してしまう
  • 気づけば、音声を聞かずに口だけが動いている

こうした失敗は、知らないまま始めると、誰にでも起こります。逆に言えば、最初に正しい手順を知っておけば、避けられるものばかりです。

シャドーイングの学習効果を最大化したい人は、ぜひ最後まで読んでください。

この記事では、次の内容を解説します。

  • シャドーイングで伸びる英語力
  • シャドーイングで効果を出す4ステップ
  • 効果がでない人がつまずきやすいポイント
  • おすすめシャドーイング教材

私は英語学習者にお馴染みのアルクより『はじめての英語シャドーイング』を執筆しています。連結、消失、フラッピングなど、つまずきやすい音の変化を、基礎から練習できる内容になっています。

「遠回りしたくない」「きちんとした指針がほしい」という人は、私の書籍もぜひ手に取ってみて下さいね。

シャドーイングとは?

シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、1語ほど遅れてその音声を真似して発声するトレーニングです。名前の通り、影のようについていく練習です。

ただ英文を読むのではありません。音声のスピード、リズム、強弱、息継ぎ、イントネーションまで真似します。

ポイントは「完全コピー」です。

英語を自分の読み方で読むのではなく、お手本の音声にできるだけ近づけます。そのため、シャドーイングはかなり負荷の高い練習です。

『聞く、理解する、発音する、真似する』

これをほぼ同時に行うので、最初は疲れます。でも、正しく続けると、英語を聞き取る力や、英語を口から出す力が鍛えられます。

シャドーイングの効果

英語シャドーイングの効果

私はよく、シャドーイングを「英語の筋トレ」に例えています。

最初はかなり負荷がかかります。音声についていくだけで精一杯になったり、思うように口が動かなかったりすることもあります。

でも、正しいフォームでコツコツ続ければ、少しずつ耳と口が鍛えられていきます

筋トレで体が変わるように、シャドーイングも正しいやり方で続けることで、4つの効果を実感できます。

1. リスニング力が伸びる

シャドーイングの大きな効果のひとつは、「音声知覚」を集中的に鍛えられる点にあります。

英語のリスニングは、「聞こえてくる音を正確に捉える音声知覚」と、「その音をもとに意味を理解する意味理解」という2つの段階で成り立っていますが、多くの学習者は最初の音声知覚の段階でつまずいてしまいます。

  1. 1つ目の段階:音声知覚
    →聞こえてくる音を正確に捉える
  2. 2つ目の段階:意味理解
    →聞き取った音をもとに意味を理解する

音が正しく聞き取れていない状態では、その先の意味理解も安定しません。

シャドーイングでは、聞こえた音をすぐに真似します。そのため、音の細部に強制的に注意が向きます。

このトレーニングを繰り返すことで、英語の音を単語単位ではなく「かたまり」として捉えられるようになり、音の変化やリズムにも自然と対応できるようになります。

やがて、音声知覚の処理が自動化され、無意識レベルでもスムーズに音を捉えられるようになっていきます。

2. 発音がよくなる

発音というと、ひとつひとつの音を正しく出す練習を思い浮かべる方が多いと思います。もちろん、それも大事です。

でも、英語らしく聞こえるかどうかは、個別の音だけでは決まりません。

  • リズム
  • 強弱
  • イントネーション
  • 音のつながり

も大事です。

ネイティブのような発音を目指したい方にも、通じる発音を身につけたい方にも役立つ練習です。

3. スピーキング力が伸びる

シャドーイングで、スピーキング力が伸びる理由は、下記です。

  1. フレーズのカタマリを覚えられる
  2. 正しい文法(単語の並び方、構文)が自然な形で覚えられ、実践できる

二つとも根本は同じなのですが、文法のルールだけ覚えても、実際にスピーキングで速く文章を組み立てる、ということは難しいと感じている人が多いです。

そこで、「文法のことは考えない!」とか「日本語ではなく英語で考えろ!」とか指導されることが多いのですが、大人から英語を始める場合は、文法は絶対に必須ですし、日本語で考えることを止めることはほぼ不可能です。

そして、その必要もありません。

じゃあどうやって速くしゃべれるようになるか?というと、脳内でこの作業をします。

文章をカタマリで覚えて、それをキレイに整頓した状態で(脳の中に)置いておいて、必要に応じて出す。

その「覚えて、整頓」の作業がシャドーイングと言えます。

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4. 全体的な英語の処理能力

シャドーイングは、英語を処理するスピードも鍛えられます。

聞いた英語を、頭の中で日本語に訳してから理解していると、会話や試験のスピードには間に合いません。

シャドーイングでは、音声がどんどん流れていきます。ゆっくり考えている余裕はありません。聞いて、口を動かす。この流れを繰り返すことで、英語を英語の語順のまま処理する練習になります。

リスニングだけでなく、リーディングのスピードにも良い影響があります。

シャドーイングの正しいやり方【4ステップ】

ここからは、実際の効果を最大にする学習手順を説明します。

シャドーイングは、いきなり音声にかぶせて話せばいいわけではありません。手順・方法を間違えると、効果が落ちます。

おすすめは、次の4ステップです。

STEP1:リスニング&意味の確認

最初はスクリプトを見ずに、音声だけを聞きます。この時点で、完璧に理解できなくても大丈夫です。

聞き終わったら、スクリプトと日本語訳を見ながら意味を確認します。分からない単語や文法は、この時点で解消してください

もし意味が分からないまま行うと、脳は「これはどういう意味だろう?」と考えるのにエネルギーを使ってしまい、肝心の音に集中できなくなってしまいます。

  • 単語の意味は何か
  • どんな内容を話しているのか
  • どの文法が使われているのか

ここまで確認してから、声に出す練習に進みましょう。

シャドーイングは、音を真似する練習であると同時に、意味のある英語を体に入れる練習です。

STEP2:英文を見ながらリピーティング

次に、英文を見ながら、音声の後に続いてリピートします。音声を1文ごとに止めて、そのまま真似して復唱してください。

この段階では、まだシャドーイングに入らなくて大丈夫です。まずは、音の変化に慣れます。

  • 単語と単語がつながっているところ
  • 弱く読まれているところ
  • 強く読まれているところ
  • 息継ぎの場所

こうした部分を確認しながら、最大2回までリピートします。

ここで大事なのは、自分の読み方で読まないことです。お手本の音声を真似してください。

STEP3:英文を見ながらシャドーイング

次に、スクリプトを見ながらシャドーイングします。音声から1語ほど遅れて、影のようについていきます。

この段階では、スクリプトを見て大丈夫です。むしろ、最初から見ずにやろうとすると難しすぎます。

意識するポイントは、次のようなものです。

  • イントネーション
  • 強弱
  • リンキング
  • 間の取り方
  • 息継ぎ
  • 声のトーン

ここは、ものまねだと思ってください

自分らしく読む必要はありません。お手本の話し方を完全コピーします。

最大3回まで、やってみてください。3回やってもまったくついていけない場合は、教材が難しすぎる可能性があります。

その場合は、教材を変えたほうがいいです。

STEP4:英文を見ずにシャドーイング

最後に、スクリプトを見ずにシャドーイングします。ここで大事なのは、記憶に頼らないことです。

音声を聞きながら、聞こえた通りに口を動かしてください!

一度見ずにやって難しければ、次は見ながらやる。
その次に、また見ずにやる。

このように交互に進めても大丈夫です。目安としては、見ずに最大3回までやってください。

なぜ回数制限を設けているのかというと、同じ音源を繰り返しすぎると内容を暗記してしまい、音をしっかり聞かなくてもシャドーイングができてしまうからです。それでは、「リスニング力」が伸びにくくなります。そのため、もう一度取り組みたい題材があれば、時間を空けてから改めて戻ってくるようにしましょう。

上手くできているか確認する方法

上達しているかは、自分の声を録音して確かめます

このときは、お手本の音声を流さずに録音してください音声を流しながら録音すると、あとで自分の声が聞き取りにくくなるからです。

録音したら、お手本の音声と1文ずつ比べます。

  • 発音は似ているか
  • 強弱は合っているか
  • 息継ぎは同じ場所でできているか
  • 音のつながりを再現できているか
  • イントネーションが平坦になっていないか

気づいたことは、メモしておきましょう。次に同じ教材をやるとき、そのメモを見てから練習すると改善しやすくなります。

シャドーイングは、回数をこなせばいいわけではありません。10回、20回と口を動かしても、何も意識していなければ効果は薄くなります

録音して、違いに気づいて、修正することが大事です。

シャドーイングはどれくらい続ければ効果が出る?

シャドーイングは、1日や2日で劇的に変わる練習ではありません。

目安は、毎日15分〜30分を3か月です!

もちろん、学習歴や教材の難易度によって個人差はあります。ただ、週に1回だけ思い出したようにやるより、短時間でも毎日続けるほうが効果は出やすいです。

わざわざ机に向かって時間を作る必要はありません。たとえば、次のように生活の中に入れてしまうと続けやすくなります。

  • 朝起きてすぐ
  • 昼休みに
  • お風呂に入っている間
  • 寝る前に

「時間があるときにやろう」と考えると、ほぼ続きません。生活習慣とセットで行うと継続率もあがります。

シャドーイングで効果が出ない人の共通点

シャドーイングを2〜3か月続けても効果を感じない場合は、やり方を見直してください。

よくある原因は2つです。

原因1:暗記してしまっている

レッスンで実際にこれをやっている方を多数目撃しました。

シャドーイングを一生懸命やる人ほど、同じ教材を何度も繰り返します。それ自体は悪くありません。

ただ、繰り返しすぎると文章を暗記してしまいます。すると、音声を聞かなくても言えるようになります。音声が流れるのとほぼ同時に口が動く。でも、実は音を聞いていない。

この状態になると、シャドーイングの効果は落ちます

シャドーイングで鍛えたいのは、聞こえた音を正確に捉えて、すぐに再現する力です。暗記した文章を読むだけでは、この力が鍛えられません。

もちろん、暗記や音読にも効果はあります。でも、それはシャドーイングとは別の練習です。

自分が今やっているのは、シャドーイングなのか。それとも、暗記した音読なのか。ここを一度確認してください。

暗記になっているサイン

次のような状態になっている場合は、シャドーイングではなく、暗記した音読に近くなっている可能性があります。

  • 音声より先に英文が頭に浮かぶ
  • 音声を小さくしても、同じように言えてしまう
  • スクリプトを思い出しながら口を動かしている
  • 新しい音源になると急についていけなくなる

この場合は、同じ音源をやり続けるよりも、少し時間を空けるか、別の短い音源に移ったほうがいいです。

原因2:完全コピーになっていない

もうひとつの原因は、完全コピーになっていないことです。単語を言えればいいわけではありません。

真似するべきものはたくさんあります。

  • 文法と語順
  • 単語の使い方
  • 強弱
  • イントネーション
  • 声のトーン
  • 息継ぎ
  • 間の取り方
  • 音のつながり

ここまで含めて真似します。

自分の読み方で英文を読んでいるだけなら、それは音読です。シャドーイングではありません。

完全コピーできていないサイン

次のような状態なら、完全コピーではなく、自己流の音読になっている可能性があります。

  • 単語は言えているのに、英語らしく聞こえない
  • お手本よりも平坦な読み方になっている
  • 強く読む単語と弱く読む単語の差がない
  • 息継ぎの場所がお手本と違う
  • 音のつながりを無視して、一語ずつ読んでいる
  • 録音して聞くと、お手本とかなり違う

この場合に必要なのは、回数を増やすことではありません。録音した音声を聞いて、お手本との違いに気づくことです。

効果を出すためのシャドーイング教材選び

ここまで見てきたように、シャドーイングで効果が出ない原因は、暗記に頼ってしまうことと、完全コピーになっていないことです。

この2つを防ぐために大切なのが、教材選びです。

教材選びで一番大事なのは、難しすぎるものを選ばないことです。

シャドーイングは、難しい英文を理解する練習ではありません。すでに意味が分かる英文を、音として正確に処理し、再現する練習です。

そのため、スクリプトを読んだときに、さっと意味が分かるくらいの教材を選びましょう。

次のような教材は、シャドーイングにはあまり向いていません。

  • 辞書を引かないと分からない単語が多い
  • 文法構造を考えないと意味が取れない
  • 音声が速すぎて、最初からついていけない
  • 1回分が長すぎる
  • 内容理解だけで疲れてしまう

このような教材を選ぶと、音声についていくだけで精一杯になります。

その結果、強弱、イントネーション、息継ぎ、音のつながりまで意識する余裕がなくなります。

難しい教材をやるほうが、学習効果があるように感じるかもしれません。でも、シャドーイングでは「難しい教材をなんとかこなす」よりも、簡単な教材を深く真似するほうが効果的です。

最初は、短い英文をひとつ選び、音のつながり、強弱、イントネーション、息継ぎまで丁寧にコピーしてみてください。

その積み重ねが、リスニング力や発音の向上につながっていきます。

レベル別おすすめシャドーイング教材

初中級者の場合

初心者と中級者は、1回分が短く、音声が速すぎず、スクリプトを見れば意味が分かる教材を選んでください。

特に、「文章を読めば分かるのに、音声になると聞き取れない」という方は、音の変化を学べる教材がおすすめです。

私の著書『はじめての英語シャドーイング』も、そうした方に向けて作っています。

はじめてのシャドーイング

本書のこだわりポイントとしては、連結、消失、フラッピングなど、日本人学習者がつまずきやすい音の変化のポイントを視覚的に分かりやすくしています。

シャドーイングを基礎から進めたい方は、ぜひ使ってみてください。

上級者以上の場合

上級者の方も、シャドーイングでは必ずしも難しい教材を選ぶ必要はありません。

英語学習をある程度続けてきた方ほど、「ニュース音声」「TED」「ネイティブ向けのスピーチ」などに挑戦したくなるかもしれません。

ただ、シャドーイングの目的は、難しい英文を理解することではなく、聞こえた音を正確に捉え、できるだけ自然に再現することです。

そのため、上級者であっても、少し簡単に感じるくらいの素材を使い、音の細部まで丁寧に真似するほうが効果的です。

上級者の方は、自分の弱点を把握していることが多いので、オリジナルのシャドーイング教材を自分で作るほうが適しています。

ツールを組み合わせることで、シャドーイング環境を作ることができます。

方法1. AI+Natural Reader

自分の苦手な音や表現に合わせて、練習素材を作る方法です。

たとえば、ChatGPTを使って、自分が苦手な発音、リズム、文法、フレーズを含んだ短い英文を作ることができます。

「/r/ と /l/ の聞き分けが苦手」
「th の音が入った英文を練習したい」
「would have をスムーズに言いたい」

このような弱点に沿ってAIに短文を作ってもらうことで、自分専用のシャドーイング教材を作ることができます。

作った英文は、Natural Readerなどの読み上げツールに入れて音声化すると便利です。スピードを少し遅くしたり、何度も聞き直したりできるので、自分のレベルに合わせて練習しやすくなります。

方法2:YouTube+Language Reactor

リアルな英語でシャドーイングしたい方には、YouTubeの動画を使う方法もおすすめです。

Language Reactorを組み合わせると、シャドーイングしたい文章をワンタップでリピート再生することができるので、かなり便利に学習できます。

ただし、海外動画を使う場合も、長い動画を最初から最後までシャドーイングする必要はありません。むしろ、10秒〜30秒くらいの短い部分を選び、その部分だけを丁寧に練習するほうが効果的です。

このようにツールをうまく使えば、市販教材だけに頼らず、自分の弱点に合わせたシャドーイングができるようになります。

自己流で遠回りしたくない方へ

シャドーイングは、やり方が分かると効果が出やすい練習です。ただ、教材選びや音の変化の理解でつまずく方も多いです。

独学で進めたい方は、『はじめての英語シャドーイング』も参考にしてみてください。

  • 英語を読めば分かるのに、聞くと分からない
  • なかなか日本人発音が抜けない
  • 選定された文章できちんと練習したい

連結、消失、フラッピングなど、聞き取りでつまずきやすい音の変化も練習できます。

この記事で紹介した流れを、より体系的に進めたい方にぜひ手に取ってほしいです。

ABOUT ME
Kumiko
カナダで語学学校を10年経営し、IELTS対策をはじめ、TOEIC、英文法、ビジネス英語、翻訳、通訳、英会話などさまざまなコースで指導してきました。著書『スピーキング攻略・IELTS英単語』『独学で英語を話せるようになった人がやっていること』『スマホで倍速!英語独学ハック』『IELTS語彙文法でる500問』詳しいプロフィールはこちら
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