IELTSスピーキング・・・それは英語力だけでなく、コミュニケーション能力、思考力をも問われる試験です。
その難易度から、日本人学習者にはハードルが高く感じられることもありますよね。
何せ、日本の英語教育の伝統上、リスニングやリーディングに比べてスピーキングへの取り組みが遅れがちで、ここが改善点となります。
一方で、意外にも、4技能の中では一番スコアが取りやすい科目だったりもします。私もIELTSを教えるまでは思ってもみませんでしたが・・・
なので、スピーキングを恐れすぎないでください。
この記事では、IELTSスピーキングに必要なスキルや心構え、さらには試験当日に生かせる具体的な対策まで、幅広く紹介します。
それぞれの項目を理解し、練習に取り組むことで、自信を持ってスピーキングに挑戦できるはずです。
今回書ききれない内容は、関連記事に詳しく解説しているので、そちらも合わせて参考にしてください。
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第1章 はじめに

IELTSスピーキングの概要
IELTSスピーキングは、英語の話す力を測る試験です。
この試験は一対一の形式で行われ、試験官が直接質問をします。全体で11~14分間、3つのパートに分けて進行します。
時間は試験官が測っており、11~14分間に3パートすべてが収まるように、試験官が質問の数などを調節しています。
それぞれのパートでは、異なるスキルが試されます。
- パート1:自己紹介や日常の話題
- パート2:個人的な話題での短いスピーチ
- パート3:より抽象的なテーマについてのディスカッション
が求められます。
採点基準
試験の評価は、4つの基準によって行われます。
- 流暢性と首尾一貫性
- 語彙の豊富さ
- 文法の範囲と正確さ
- 発音
それぞれの基準が全体の25%を占めています。
流暢性と首尾一貫性
話が滑らかであり、一貫性があり、明確な目的を持っているかを評価します
語彙の豊富さ
豊かな語彙と適切な単語ができているかどうかをチェックします
文法の範囲と正確さ
さまざまな文法構造を適切に使用し、それらが正確であるかを見ます
発音
クリアさと自然さ、そして英語として理解しやすいかを評価します
全てがバランスよく揃っていると、高いスコアを獲得するチャンスが高まります。評価は全体的な英語の使用能力に基づいているので、すべての観点での向上が求められます。
これらの基準を把握して、自分の力をどこに注ぐべきか、しっかりと計画を立てていきましょう。
採点基準については、こちらの記事に詳しく書いています!

第2章 目標スコア達成までの道のり
必要な時間と期間の見積もり
目標スコア達成までの時間と期間は、スタート時点での英語レベル、1日あたりの勉強時間、そして学習方法によります。
目安としては、スコアを0.5上げるのに3カ月かかる感じです。
ただ、スピーキングは、IELTSの4技能の中でも、比較的短期間で上げやすい技能だと、私は思っています。
毎日2時間以上トレーニングを行い、きちんと分析→改善のサイクルを回すことを行えば、1か月程度で0.5上げることも可能です。
また、スピーキングは、4技能の中でも、スコアがブレやすい科目でもあります。人間が採点するので当然なのですが・・・
そのため、スコアの提出期限が迫っている人などは、何度も試験を受けると、いきなり目標スコアに達するケースも、今まで何回も見てきました。
そんな感じで、けっこう下剋上が叶う科目かなぁ、というのが私の印象です。
スピーキングを恐れている人も多いと思いますが、意外にすんなり目標スコアが取れてしまうかもしれませんよ。
目標達成までにかかるコスト
IELTS対策にかかるコストは、購入する教材、通う学校や塾、利用するオンラインサービスなど、どのようなリソースを利用するかによります。
もちろん、人間相手で、マンツーマンのレッスンが一番お金がかかります。
時間がない場合「とりあえずお金で解決!」とばかりに、オンライン英会話などに申し込む人も多いのですが、それは割と短絡的で、IELTSはそんなに甘い試験ではありません。
つまり、かけたお金と成果は、イコールにならない、ということです。
なぜかというと、どのような方法を取ったとしても、自分でやるトレーニングは欠かせないからです。
なので、自分でのトレーニング(独学)を中心に据え、IELTS専門家にフィードバック、アドバイスをもらう。
といった形式が、理想的です。
これだと、かかるお金も最小限+効果は最大になります。これはIELTSだけではなく、英語全体に言えることですが・・・。
こちらの記事もご参照ください。

第3章 IELTSスピーキングのパート別対策

パート1: 自己紹介とインタビュー
スピーキングのパート1は自己紹介とインタビューです。
短い質問に対して簡単な答えを用意し、それを伝えることが求められます。
自己紹介といっても自分の人生話をする必要はありません。あなたの日常生活や興味、趣味について質問されることがほとんどです。
ちなみに、パート1は実はあまりスコアに関係しないと言われているので、ウォームアップくらいに捉えてもらってOKです。
ただ、最初でつまづくと総崩れになったり、逆にうまくいけば、その後のパートもうまくいきやすいので、自分のメンタルのためにも、ここはしっかり準備しておきましょう。
自己紹介のところは、自分の今の仕事について(学生なら、勉強について)一通り話せるようにしておけばOKです。
そのあとに続く質問に対する練習方法としては、常に「自分がどう感じているか」を英語で表現する習慣をつけることをおすすめします。
「外出先で見かけたものや感じたことを、英語で短く述べる」という練習法は、日常でも、頭の中でスキマ時間でできるので良いですよ。
パート2: スピーチ(プレゼン)
パート2では、個人的な話題について1〜2分間話すことが求められます。
ここでは2分間を最大限に使って、話し続けましょう。
スピーチの前に、1分間の準備時間が与えられるので、紙いっぱいにたくさん書きなぐりましょう。
「思い出の場所や人、体験を頭の中で色々と描き、それを英語で表現する」練習が、パート2のスキルアップにつながります。
問題はある程度パターン化されているので、本番の前に、ネタをしっかり持っておくのも、ものすごく重要です。
パート2の対策については、こちらの記事に詳しく書いています。

パート3: ディスカッション
パート3では、抽象的な話題についての意見を求められます。といっても、別に高尚な意見を持つ必要はありません。
むしろ、やってしまいがちなのですが「賢そうに見える意見を言おう」と思ってしまうと、逆効果です。
IELTSスピーキングはあくまでも英語の試験であり、意見自体のレベルなどはまったく加味されません。
多くの人が普通に考えるような意見でまったく構いません。
逆に、そのほうが英語が思いつきやすいことが多いので、おすすめです。
また、「他人の意見を引用する」方法もあります。
新聞や雑誌、ニュース番組などで見聞きした意見を引用し、それに対する自分の見解を加えるという方法です。
英語でたくさん読む機会を増やすことで、スピーキングだけではなく、ライティングやリーディングの対策にもつながります。
パート1と3の対策については、こちらに詳しく書いています。

以上、IELTSスピーキングのパート別対策についての説明でした。一つずつ確実に理解し、練習に活かしていきましょう。
次からは、具体的な対策と練習方法に入ります。
第4章 具体的なスピーキング対策

さて、ここからは具体的な対策と練習方法をご紹介していきます。
採点基準ごと対策、弱点別の対策の2つに分けて説明します。
採点基準ごとの対策
IELTSスピーキングでは、流暢さと一貫性、語彙力、文法の範囲と正確さ、発音の4つの観点から採点されます。
4つの採点基準ごとの、具体的な対策を見ていきましょう。
対策1. 流暢さと一貫性
IELTSスピーキングでは、これが一番のポイントとなります。
これまでスピーキングを指導してきて、9割以上の人がやってしまうのが「間違った時に言い直す」ことです。
これは良くないので、本番試験までに直す必要があります。
これに関しては、本当にもうクセなので、意識して練習して直していくしかないです。
「いや・・・そもそも、英語が口から出てこないんですけど?」という人は、こちらの記事をご参照ください。

対策2. 語彙力
語彙力は多様な単語を適切に使えるかを判断する項目です。
話題(トピック)ごとの語彙力は、広範なトピックに対応できるかどうかを示す重要な指標です。
具体的な出来事や意見を詳細に説明するためには、各話題に関連する語彙を知っていることが必要になります。
日々のニュースを読んだり、話題ごとに語彙リストを作ったりすると良いでしょう。
またフレーズやイディオムを使うと、英語が自然に聞こえ、語彙力の高さを示すことができます。
IELTSスピーキングに関して言えば、難しすぎる専門用語は必要ありませんので、その分「使えるようにする」というのが大事です。

対策3. 文法の範囲と正確さ
文法の範囲と正確さは、基本的な文法から高度な文法まで、幅広いレベルで使いこなせるかを評価します。
つまり、単純な文だけでなく、複雑な文も自然に話すことが求められます。
文法書を使って勉強するだけでなく、リスニングや読解も取り入れ、自然な英語の文法を吸収しましょう。
スピーキングにおける文法の考え方については、下記の記事もご参照ください。

対策4. 発音
発音は、発声の明瞭さと自然さ、アクセントやリズム、イントネーションについて評価されます。
発音練習はリピーティングやシャドーイングが効果的!
thやvなど、難しい子音にどうしてもフォーカスする人が多いのですが、それよりも、リズムやイントネーションが最重要です。
発音については、少し誤解している人も多いようなので、こちらの記事に詳しく書いています。

採点基準ごとの対策は、まずどれを優先する3ステップで解説した記事もご参照ください。

弱点ごとの対策
英語のスキルには個々の強みと弱みがあります。IELTSスピーキングでもその特性が出るでしょう。
以下に、よくある2つの弱点とその対策を紹介します。
ためらいや迷い
自信がないと、話す速度が遅くなり、ためらいや迷いが見えることがあります。
これを克服するためには、日頃から英語を話す機会を増やし、自信をつけることが有効です。
英語を話すと言っても、独り言や、アプリが相手でOKです。とにかくたくさん英語を口に出しましょう。
文法や語彙のミス
文法や語彙のミスを改善するためには、まず自分のミスに気付く必要があります。
録音機能を使って自分のスピーキングを録音し、再生してみましょう。ミスに気付いたら、それを直すための練習を繰り返します。

第5章 スピーキングのトレーニング方法

スピーキングスコアを上げるために、どのようなトレーニングをしていくか、どの参考書を使うのかなど、4つに分けて解説します。
- スピーキングの勉強法
- おすすめ参考書
- フィードバックと自己評価
- 予想問題の活用
とっておきのネタもありますので、最後まで読んでくださいね。
スピーキングの勉強法
スピキング力を上げるためには、下記の2つが効果的です。
1.シャドーイング
ある程度、英語を口に出すことに慣れてきたら、シャドーイングはとてもお勧めです。
というより、シャドーイングはこれからの英語人生でずっとやってほしいと思っています。
もちろん、私も今でもやっています。
シャドーイングの効果や、詳しいやり方はこちらの記事に書いています。

2.フォニックス
発音に関しては、シャドーイングでだいたいカバーできるのですが、
もし、
- 発音を基本から知りたい
- 個々の音について、どう発音すべきかあいまいだ
という場合は、フォニックスというトレーニング方法を取り入れるのも良いでしょう。
一緒に練習できる、有用なYouTube動画チャンネルを貼っておきます。
https://www.youtube.com/@aiueophonics
発音のトレーニングに関しては、テキストよりも動画で勉強するのが、とても相性が良いです。
おすすめの参考書
スピーキングでも、やはりお勧めは公式問題集。

また、スピーキングを始めたての時は、英語を口にするトレーニングが必要なので、瞬間英作文をすると良いでしょう。
下記のテキストがお勧めです。
フィードバックと自己評価の活用
フィードバックは、スピーキング力を上げるための重要なツールです。他人からのフィードバックは、自分では気付かない問題点を指摘してくれます。
また、自分で自己評価することで、自分の強みと弱みを明確に理解することができます。
IELTS専門家にフィードバックを頼むと、普通は有料ですが、何度も頼む必要はありません。
上でも言ったように、基本はしっかりと自分でトレーニングすることを中心にするべきなので、フィードバックを受けるのは、月に1~2回で十分です。
予想問題を活用
とっておきのネタ、それは・・・スピーキングの予想問題を活用すること!!
実は、IELTSスピーキングでは、問題が使いまわしされています。
厳密に言うと、「問題リスト」があり、そこからランダムに出題される形です。この問題リストを予習しておけば、高い確率で、同じ問題が出る・・・というわけです。
ちなみに、この問題リストは年に3回ほど更新されます。
私のIELTSメール講座(無料)の受講生には、定期的にこの問題リストをお配りしております。
不定期にお送りしているので、受け取れるよう、欲しい方は、できるだけお早目にご登録くださいね。

第6章 最後に
IELTSスピーキングは、苦手意識を持っている人も多いと思いますが、意外にきっちりと論理的に対策ができることがおわかりいただけたかと思います。
「英会話レッスンじゃないとスピーキング対策は無理!」というのも、間違った思い込みで、自分ひとりで家でできることがたくさんあります。
むしろ、第5章で述べたように、添削やフィードバックは最低限で十分。
それよりも、しっかりと自分でネタ作りをしたり、トレーニングを行う必要があります。
これはたとえ英会話レッスンやIELTSコースを受講していたとしても同じです。
苦手意識を持ちすぎず、淡々と練習を重ねていけば、必ずスコアがあげられる科目なので、この記事を何度も読み返してがんばっていきましょう。

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