IELTS(アイエルツ)のスピーキングのPart2は、2分間のプレゼンです。
プレゼンというと、苦手意識がある人も多いでしょう。
しかし、実は、スピーキングの中ではパート2が一番重要なパートです。
というのも、試験官は評価に集中できるパートなんですよね。
受験者が2分間しゃべり続ける
=試験官が質問をする必要がない
=評価に集中できる
実際に、パート2で受験者のスコアを決めてしまうことがほとんどだと言われています。
しかし、良い知らせとして、パート2が最も対策がしやすいです!
というのも、パート1やパート3のようにQ&A形式ではないため、予測できない質問に答える、という瞬発力が必要とされず、独学でも練習がしやすいからです。(もちろんパート1やパート3も独学で練習できますよ)
IELTSスピーキングで効率よくスコアを上げたい場合は、パート2を優先して対策しましょう!
本記事の信頼性
明日香出版社より、スピーキング特化のIELTS英単語集を発売しています。
まず試験の概要を知っておこう
まず、IELTSスピーキングパート2がどんなものかを知っておきましょう。
本番試験までまったく時間がない!という場合でも、必ずここだけはおさえておくことをお勧めします。
スピーキングのパート2はちょっと特殊なので、試験の流れを知らないと、あたふたしてしまい、それだけで実力を発揮することが難しくなってしまいます。
ちなみに、CDI(Computer-delivered IELTS)つまり、コンピューター上の試験を受験するとしても、スピーキングは従来の試験と同じ対面なので、流れは同じと思ってください。
IELTSスピーキングパート2の流れ
試験官がさらっとパート2について説明します。最後に「わかりましたか?」と言われるので、「Yes」と答えてください。
↓
試験官がタスクカードとメモ用紙と鉛筆を渡してきます。このタスクカードやメモ用紙は試験の会場によって形式はまちまちのようです。タスクカードと言いつつ、カードの形状ではなく、ファイルやバインダーにはさまれたものをそのまま渡されることもあります。
↓
試験官は「では1分測りますよ」と、サラッと告げて、すぐにタイマーをセットしてきます。ボーっとしているヒマはありませんので、すぐに1分間のプレゼン準備に取り掛かってください。
↓
1分経ったら、タイマーの音が鳴ることが多いですが、試験官が「1分間経ちましたので、ではこれから1~2分間、話してください。どうぞ!」とこれまたサラッと言ってきて、すぐにプレゼン時間は始まります。このあたりは、まったく気を抜かずにすぐに次に取り掛かれるように常に集中しておきましょう。
↓
1~2分間のプレゼンをします。1分間経ってから黙り込んだ場合には、試験官が終了します。話し続けていた場合には、2分間経つとタイマーが鳴るので、そこで、話の途中だったとしても、問答無料で遮られます。(途中でもスコアに影響しません)
↓
プレゼンの内容に関して、試験官が二つほど質問をしてきます。最後まで気を抜かないようにしてください。
IELTSスピーキングパート2の例題
ここに例題を一つ挙げておきます。試験官から渡されるタスクカードに書いている内容です。
Describe an occasion when you had to wait a long time for someone or something to arrive.
You should say:
who or what you were waiting for
how long you had to wait
why you had to wait a long time
and explain how you felt about waiting a long time.
※ IELTS公式問題集の12より
【日本語訳】
誰か、もしくは何かが到着するのを長時間待った経験について話してください。
下記について言ってください:
誰もしくは何を待っていたのですか。
どれくらいの時間待ちましたか
なぜ長時間待たなければいけなかったのですか
そして、長時間待つことについてどう思ったか説明してください。
いかがでしょうか?
なかなか、すぐには答えが思い浮かばないような問いですよね・・・
なぜIELTSスピーキングのパート2は難しいのか
プレゼン形式
日本人がプレゼンが苦手なのは、義務教育で練習をしないから、と言われています。
日本語でも難しいプレゼンを英語でやるって・・・かなりハードル高いですよね。
時間がない
通常のビジネスなどでのプレゼンでは、準備時間が1日や2日などあることがほとんどでしょうが、IELTSのスピーキングでは、準備時間は、たった1分です。
そして、1分が経ったら強制的にプレゼンを始めなければいけません。
しゃべり続ける
これまた日本人の苦手なこと・・・
プレゼンの規定時間は、1分以上、2分未満です。でも、高得点を狙おうと思ったら、もちろん、2分いっぱいにしゃべる必要があります。
始まって1分間以上経っている場合、もし長いこと黙ってしまうと、終わったとみなされて強制的に終了になります。
きつすぎます~!
でも、大丈夫。何でも同じですが、練習をすれば慣れます。そして、上でも言ったように、パート2は練習・対策がしやすいパートでもあります。
詳しく見ていきましょう。
パート2で目標スコアを取るための戦略
1分間の準備時間の使い方コツ3つ
1分間の準備時間を有効に使えていない人は意外に多いです。
メモが真っ白な状態でスピーチを始める=出たとこ勝負!みたいになり、かなり詰みます・・・。
1分後の未来の自分を助ける気持ちで、とにかくメモに書きなぐりましょう!
時間の使い方
まず最初の10秒で、「何について話すか」というテーマを決めましょう。
上の例でいえば、問題は「長時間待たされたことについて話せ」ということですが、「どのエピソードについて話すか」を決める、ということです。
慣れていないと、これを考えているだけで1分間経ってしまうので、真っ白なメモ用紙のままになってしまします・・・
当然のことながら、練習と準備が必要ですよ!準備については後で話しますね。
10秒で話すテーマを考えたら、そこからは実際にメモに書いていきます。
メモに書く内容・レベル1
まず何を書くかというと、なんといっても、タスクカードに書いてある質問への答えですね。
後で説明しますが、スピーチの最中に、タスクカードを見返さなくても済むように、答えはすべてメモに書いておきましょう。
文章を書くのではなく、単語レベルです!
また、私がいつもお勧めしているのが「時制をメモしておく」ということです。
上の例題は「長時間待たされた時の話」ということで、「過去」の話ですよね。
あまり時制を意識していないと、過去のことなのに全部現在形になっちゃったり、しがちなのですが、時制は文法ポイントに大きな影響を与えるため、これはまずいです。
なので、過去の話だな、と思ったら、メモ用紙の右上などに大きく「過去形!!」などと書いておきます。
自分へのリマインダーです。
さて、ここまで書くのがせいいっぱいの方が多いと思います。練習や準備をして、本番でこれだけのメモが取れれば上出来です。
また、これだけ書くことができれば6.0~6.5を取ることは難しくないでしょう(他のパートや色々な要素もありますが、目安として、ということです)。
メモに書く内容・レベル2
スピーキングのスコアが、いまいち伸びが悪く、特に6.5から7.0へ伸びない場合は、使っている語彙が同じだったり発展がないからかもしれません。
この場合、レベル1で書いていることができていることが前提ですが、少し進んで、準備時間で、「使えそうな単語、表現」を書きなぐってみましょう。
もちろん、日ごろの語彙力の増強は欠かせませんが、パッと出てこないことが多いので、これも自分を助けると思い、とにかく色々な単語や表現を書いておきましょう。
2分間いっぱいにしゃべる
スピーチの規定は1分以上、2分未満ですが、もちろんこれは2分間いっぱいにしゃべる必要があります。
1分以上しゃべっていれば減点にはなりませんが、英語の試験なので、アピールしないとなかなかハイスコアにはつながりません。
しかも、上で言ったように長い間沈黙すると強制終了なので、しゃべり続ける必要があります。タスク1や3でも使えますが、「つなぎ言葉」を使って、完全なる「沈黙」は避けるようにしましょう。
もちろん、何を話すか全然思いつかずに2分持たない、という原因もあるので、これは上で書いた「1分間の準備時間」で書くメモが非常に重要、ということでもあります。
つなぎ言葉については、こちらの記事を参考にしてください。
タスクカードは見ない
パート2では、できるだけひとつなぎのストーリーのようになるのが理想です。
ぶつ切れではなく、一つのつながったストーリーということですね。
これはもちろん、練習が必要ということもあるんですが、一つ、簡単に実行できる対策として、スピーチの最中に、タスクカードを見ないということ。
タスクカードには問題文と質問が書かれているのですが、これを見ながらだと、英文を読む、英語を話す、という二つの作業を同時並行してやることになります。
日本語でもこの二つの同時作業はかなり難しいのに、英語でやると、タスクカードに書かれている英文を読んでいる間、話すことは中断します。つまり沈黙の間が空きます。
「えーっと次の質問は何だっけ?・・・(沈黙。読んでいる)・・・えーっと、どれくらいの時間待っていたかというと・・・」みたいな話し方になりますね。
ぶつ切りになる、かつ、「ひとつなぎのストーリー」からはほど遠く、「質問にいちいち答えている」という感じになります。
対策としては、メモのところで書いたように、とにかくメモ用紙に質問の答えは書いてしまうこと。
メモ用紙を見ながらしゃべれば、タスクカードに書いてある質問に答えていくことができる状態にすること
これを目指してください!
無理に目を合わせる必要はない
というわけで、スピーチの間は基本的にメモ用紙を見ながら話します。
「アイコンタクトが大事」とかいう説もあり、確かにある程度は必要ですが、パート2に限っていえば、ずーっとメモ用紙を見ながら話して良いです。
ただ、下を向きながら話すと、声がこもって聞こえにくいので、メモ用紙をできるだけ目線の高さに掲げて話すと良いでしょう。
余裕ができてきたら、たまにでも良いのでチラッと試験官の目を見て、またメモ用紙に戻す。ということができれば良いですが、別に必須ではありません。
話すことはどうやったら思いつくのか【3つの方法】
1. タスクカードの箇条書きの質問をすべて含める
タスクカードに箇条書きで聞かれている質問は、基本的にはすべて含めて答えるようにしましょう。
「必ずすべて答えなければ減点」ということはありませんが、どっちにしろネタ切れになるので、せっかくのヒントは最大限に活かしたほうが良い、というのが私の考えです。
なので、1分間の準備時間が始まったら、すぐに箇条書きの質問に対する答えをメモ用紙に書きましょう。
2. 5W1Hが基本
どうやってネタを思い付くかわからない場合、「5W1H」が基本です。
5W1Hというのは、これらの疑問詞のことです。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- What(なにを)
- Who(だれが)
- Why(なぜ)
- How(どう)
もちろん、タスクカードにある質問の中で、すでにこれについて聞いているものもあるので、かぶらないようにしなければいけません。
このうち、「how(どう)」については、いろんなふうに解釈できます。
- how much/many(どれくらい多いか)
- how well(どれくらい良く)
- how big(どれくらいの大きさか)
- how you did it(どのように[方法]したか)
- how you felt(どのように[感情]感じたか)
と、ほぼ無限に可能性があります。
日本語でも「どう」っていう疑問文って、色々な解釈ができますよね。
「どうやってしたの?」っていう質問をされたら、例えば、お金の面で?方法?時間?、など、色々な可能性が考えられます。
こういった疑問を思い付く練習をこころがけ、それに対する答えをしていくように、話すネタを考えていきます。
3. 持ちネタを仕込んでおく
パート2は対策がしやすい、という話をしましたが、これが一番のポイントになります。
なぜか、ぶっつけ本番みたいになる人が多いのですが、タスク2は持ちネタを用意しておくだけでずいぶんスコアが取りやすくなるので、必ず準備しておきましょう。
試験の1日前でも大丈夫ですよ!
具体的には下記のようなことを考えておきます。
「人」「物」「場所」を描写せよ、という問いが多いので、それぞれ一つずつ、自分の持ちネタを考えておきましょう
その一つの持ちネタを色々な問題文に適用する、という形をとります。
人の場合
一人の人を決める。
現実は同僚のAさん→昔の恩師、近所の人、お母さんの友達、など色々な役になってもらう。
用意しておくネタ
- 性格や特徴
- エピソード
- その人から受けた影響
★場所の場合
ハワイに行ったことがある→行ってみたいところ、家族旅行の思い出、特別な場所、など色々な問題に応用する。
用意しておくネタ
- 場所の特徴
- 良いところ悪いところ
- そこで何をするか(したか)
★物の場合
現実は卒業祝いにもらった時計→今欲しいもの、昔大切だったもの、なくてはならないもの、など色々な問題に応用する。
用意しておくネタ
- 物の特徴(大きさ・機能など)
- 良いところ悪いところ
- 値段
- エピソード
また、「本」「映画」「音楽」の3つのジャンルについても、それぞれネタを持っておき、本番で決めなくても良いようにしておきましょう。
- ストーリー
- 歌詞の内容
- なぜ好きなのか
- エピソード
- いつ初めて知ったのか
- どのように知ったのか
- 仲間は居るか
本や映画は、自分が本当に好きなものは話しにくいことも多いので、シンプルなストーリー(「桃太郎」など)のほうが良いでしょう。
IELTSスピーキングパート2の自宅トレーニング法
パート2独自の対策
時間を測って練習し、時間の感覚を身に付ける
1分だの2分だのという時間ですが、普通の人はあまり体感がありません。タイマーなしで自分で計るのって難しいですよね?
なので、本番で「えっ、1分ってこんなに短いの?」「2分ってこんなに長いの?」と慌てることのないように、普段からタイマーで計って慣れておきましょう!!
メモを書く練習だけでもする
上で述べたように、1分間の準備時間はとても重要で、いかにメモにたくさん書けるか、が成功のカギを握るといっても過言ではありません。
なので、直前対策として、もし時間がない場合は、1分間タイマーを測って、メモを書く練習だけでもやりましょう。問題文10個くらい練習すれば、かなり違いますよ。
他のパートも共通のトレーニング法
パート1、パート3も含め、自宅でどうやってIELTSスピーキング対策をするかについては、下記の記事に詳しく書いていますので、ご参照くださいね。
IELTSスピーキングは、実は他の技能に比べて、独学しやすいし、対策もたてやすいです。しかも短期間で伸びる技能でもあります。
今まで私が指導してきたたくさんの学習者が効果を出した方法なので、ぜひ試してみてくださいね!
試験に高確率で出題される、スピーキング予想問題集を、IELTS無料メール講座で定期的に配布していますので、ぜひお使いください。
「独学でIELTSの目標スコアを取る方法」では、IELTSを「独学で」勉強して結果を出す方法を具体的に解説しております。
独学のスタートにぜひどうぞ!