IELTS(アイエルツ)のスピーキングには、
発音がクリアでわかりやすいこと
という採点基準が含まれています。
「発音」というと、「ネイティブみたいな発音」という、すごく狭い意味でとらえてしまう人も多いようです。
あなたは、何を発想しますか?
この記事では、
「クリアでわかりやすい発音」というのは、どういうものなのか。
ネイティブ発音とはどう違うのか。
そして、効果的なIELTSスピーキングの「発音」対策について、詳しく書きます!
目次
日本人によくある「発音」に関する勘違い
ネイティブの発音じゃないとダメ?
こういった質問を直接的に聞かれることはありませんが、皆さんがそういうふうに考えているということはとても伝わってきます。
日本はネイティブ信仰が根強いので、「きれいな英語の発音」=「ネイティブの発音」、つまり、「試験で良い点を取るには、ネイティブの発音になるべきだ」と考えても不思議ではありません。
厳密にいえば、IELTSで「満点」を取るには、ネイティブの発音に限りなく近い状態である必要はあるでしょう。(それでも、「完璧」である必要はありませんが)
しかし、発音には2段階あると考えてください。
ステップ①はっきりと伝わる発音
↓
ステップ②ネイティブみたいな発音
いきなりネイティブ発音を目指すのではなく、このように細分化し、まずはステップ1から対処することが非常に重要です。
これはIELTS対策だけではなく、英語学習全般に言えることです。
thの発音が完璧にできないとダメ?
「発音」と聞くと、狭い意味で考えてしまう人が多いようです。一つ一つの単語の音、つまりRやL、THの音などです。
しかし、一つ一つの音の発音のされ方というのは、イギリス式、アメリカ式、オーストラリア式、そしてカナダ式と色々違ってきます。
IELTSはイギリスの試験ですが、アメリカ人がスピーキングで満点を取れないのでしょうか?そんなことはありませんね。
同じように、日本人は日本語のアクセント(訛り)があります。このアクセントがかなりキツイものではない限りは、日本語のアクセントは無理に無くそうとする必要はありません。
アクセントがあっても、IELTSで満点に近いスコアを取ることもできます。
個別の発音を練習する前に重要な5つのこと

試験で問題になってくるのは、enunciation(エナンシエーション)。
つまり、聞く側から見て、「わかりやすさ」が基準になってきます。
「わかりやすさ」つまり、「通じるかどうか」というのは、色々な要素があるのですが、ここでは短期のトレーニングで効果が出る、下記の5つにフォーカスしましょう。
- イントネーション
- 強弱
- リンキング(リエゾン)
- 声の大きさ
- 口を開ける
の5つです。
この5つがしっかりできれば、IELTSで7.0を取ることが可能です。(厳密にいえば、発音の評価基準で7.0レベルのポイントを満たすことができる、ですね)
詳しくみていきましょう。
イントネーション
イントネーションとは、日本語でいう「抑揚(よくよう)」のことです。
音楽のメロディのように、話している言葉にもピッチの高い、低いが存在します。
このイントネーションが、英語ではとても豊かで、高低の差が激しいです。
あなたもそう感じたことはありませんか?英語をペラペラと話している人を見ていると、なんだか音楽のように聞こえたり。
それに対して、日本語はイントネーションの差があまりなく、全体的にフラット(平たん)な言葉です。
極端に言うと、英語は音楽のメロディのような感じ、日本語はお経のような感じ、と言えるでしょう。
なので、日本人で英語を勉強していく人が知っておく必要があるのが、
「自分が思っているよりも、かなり大げさに抑揚をつけなければいけない」
「普通に日本語を話すように英語を話すと、聞いている人にはとても平たんに聞こえる」
ということです。
自分の声を録音してみるとよくわかりますが、ネイティブの発音と相当に違って聞こえる、という第一の理由が、このイントネーションであることが多いです。
強弱
強弱は「アクセント」とも言われるのですが、訛りのこともアクセントというので、ここでは「強弱」としました。
一つひとつの単語、もしくは文章単位でどこを「強く」言うか、ということですね。
イントネーションが音の高低を表すなら、強弱は文字通り「強く発音する、弱く発音する」という意味で、単純に声が大きかったり息を強く吐き出したり、ということを表します。
すべての英単語には強弱があり、辞書を引くと発音記号のところで文字の上に「点」がついており、どこを強く発音するのか、ということがわかります。
これを必ず意識するようにしてください。
新しい単語を覚える時はもちろん、あいまいな場合はその都度辞書をひいて調べてみましょう。
リンキング(リエゾン)
リンキング(リエゾン)とは、単語と単語がくっついて発音される現象です。日本語にはほぼ無いので、とても理解しづらく、特に聞き取りづらいという理由にもなっています。
生徒さんの発音を聞いていて、『語尾n』ができていないことによく気付くのが、one ofを言うとき。
one ofが「ワんオヴ」となると、かなり気になる。
正しくは、「ワナヴ」のようなイメージ。
[wʌn]のnが、日本語の「ん」ではなく、[n]になっていれば、
“自然に”(=勝手に)リエゾンするのがミソ。— Kenji🏀#GIUチャレンジ🔁#VERSANT対策 (@sawadajukuAE) January 20, 2021
リンキングについては、下記の記事にも画像つきで詳しく説明したので、ぜひ見てほしいです。

このリンキングがうまく出来るようになると、とても英語らしく聞こえ、したがって伝わりやすくもなります。
リンキングを練習するには、実は「歌」が一番効果的です。
実際に、洋楽をカラオケで歌えるように練習してみてください。日本語のように一つ一つの音をはっきりと発音していたら、メロディにうまく乗せることは絶対にできません。
声の大きさ
ほとんどの日本人が意識していない(知らない)、でも非常に大事なポイントがこちらです。
夫が
Thursday
と言いたいのに
Saturday?
と2回も聞き返される。
横から私がThursday!と言ったら1発で通じた。
thの発音がどうとか言う話ではなく、声がデカかっただけ。
日本人の英語通じないのは本当に声が小さいだけっていうケース多いです。
— Kumiko@英語スパルタ校長 (@IELTS_expert) January 14, 2021
上記のようにツイートもしたのですが、実際、日本人は
めちゃくちゃ声が小さいです。
これ、本当です。
カナダに15年住んでいた時に、たまに日本に里帰りすると、自分の声が大きいな、と感じていました。
今も、夫が英語を話しているのを横で見ていると、「いや、それは声が小さすぎて伝わってないよ」と思うことがしょっちゅうです。
あなたが考えているよりもずっと「声が小さいから聞こえていない」というケースが多いです。
普段、英会話をする機会があるなら、さっそく声を2倍くらいの大きさにすることを意識してみてください。
IELTSのスピーキングの練習をするときも、実践してみてください。もちろん、本番でも。
口を開ける
「声が小さい」の次に伝わらない原因として、
はっきり口を開けずに、何だかこもったような話し方をしている
というものがあります。
よく言われる「滑舌(かつぜつ)が悪い」というやつですね。
これも、日本語が母国語だとやってしまいがちです。
スピーチなど、外国人が話しているのを見ると、「口を大きく開けているなー」と思うことはありませんか?もし意識したことがなければ、ぜひ次回、注意してみてください。
口をしっかり開けて英語を話すだけで、伝わりやすくなり、スコアも上がるならこんなに簡単な方法はないと思いませんか?
5つの重要ポイントをマスターするためのトレーニング法

では、今までに書いてきた5つのポイントをマスターするためにはどうしたら良いでしょうか。
これは、発音レッスンに通ったりするのではなく、自分で地道にトレーニングする必要があります。
そのトレーニング法とは、ずばりシャドーイングです。
しかし、シャドーイングのやり方にはコツがあり、下記の記事を参照して、しっかりと正しいやり方で行ってください。

特に、5つのポイントをマスターしたい人は、「機械作業にならない」ことが大事です。「今回はイントネーションに気を付けよう」「今回はリンキングに気を付けよう」など、毎回テーマを決めてしっかり意識しながら行ってください。
もちろん、録音して自分の発音をチェックすることも必須です。
また、リンキングのところで書いたように、音楽好きな方は洋楽の歌を使ってトレーニングするのもとても良いですよ。
ネイティブ発音を目指したほうが良い人はこんな人
そうはいっても、状況により、IELTSスピーキングにおいて、ステップ2の発音の練習をしたほうが良い方も居ます。それは、下記にすべて当てはまる人です。
- 上記に書いてある5つのことができている(これはすべての前提です!!)
- 目標スコアが7.0以上
- 流暢性・一貫性ができており、単語も言い換えをしているのに、本番で何回か受けても6.5を越えられない
こういった方は、発音対策のステップ②に進むことをお勧めします。つまり、個々の発音(thやr/lなど)の練習を含めた、「ネイティブに近い発音になることを目指す」練習です。
これは、おもに
- 発音記号を学ぶ
- 個別の発音の練習をする
- シャドーイング
の3つで構成されます。
これについては、また別の記事で書きますね。
スピーキングの他の評価基準の対策
IELTSスピーキングには、他にも
- 流暢性と一貫性
- 文法
- 語彙
という評価基準があります。
その中でも、まず一番先にフォーカスを置いたほうが良いのは、流暢性です。
スピーキングの対策の優先順位について、この記事に詳しく書いていますので、ご参照ください。


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