私はカナダに15年住み、10年間語学学校を経営しました。ネイティブ講師、非ネイティブ講師、日本人講師を含め、20人以上の講師を採用し、授業も見てきました。

先に結論を言うと、ネイティブ講師かどうかだけで、良い先生かどうかは決まりません。

もう少し本音を言うと、初心者・初中級者が「英会話なら絶対にネイティブ」と決めつけるのは、おすすめしません。カナダで講師を採用し、実際の授業を見てきましたが、英語が母語であることと、学習者が話せるように教えることは、まったく別の力だからです。

ネイティブという肩書だけで講師を選び、生徒がほとんど話せないレッスンを続けるなら、英語学習の邪魔になることさえあります。問題はネイティブ講師そのものではなく、国籍だけで選び、教え方を見なくなることです。特に初心者から初中級者の間は、講師の発音や出身地よりも、次の点を優先してください。

  • 生徒が話す時間を確保してくれる
  • 分からない理由を見つけ、レベルに合う言葉で説明できる
  • 間違いを直すだけでなく、次に使える形で残してくれる

この記事では、ネイティブ講師と非ネイティブ講師の違い、ネイティブ講師を選ぶときの注意点、体験レッスンで見る項目を具体的に説明します。

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オンライン英会話で効果が出ない7つの理由|受けっぱなしを直す方法オンライン英会話を続けても話せない7つの原因と対策を、語学学校を10年経営し20人以上の講師を採用した経験から解説。レッスン前・受講中・復習で行うこと、頻度の決め方、上達の測り方が分かります。...
中林くみこのプロフィール。IELTS公式運営団体IDP Educationセミナー講師。東京オリンピック公式ルールブック日英翻訳。カナダ・トロントで語学学校を10年経営。

ネイティブ講師と非ネイティブ講師、どちらがいい?

選ぶべき講師は、英語を学ぶ目的と現在のレベルによって変わります。

学習者の状況 向いている講師 理由
初心者で質問を英語にできない 日本人講師・日本語を理解する講師 文法や学習法を日本語で確認しやすい
初中級で話すことに慣れたい 発話を待てる非ネイティブ講師 学習経験を共有しながら会話量を確保しやすい
中級で多様な英語に慣れたい 国や地域の異なる複数の講師 一つの発音だけに頼らず会話を練習できる
中上級以上で自然な言い回しを磨きたい 目的の地域・分野に詳しいネイティブ講師 語感、場面に合う表現、文化的なニュアンスを確認できる

日本人講師を選ぶ利点は、IELTS対策に日本人講師が向いている理由でも詳しく説明しています。

非ネイティブ講師に習う5つのメリット

英語を教える講師と学習者

1.英語を身につけた過程を説明できる

非ネイティブ講師も、英語を外国語として学んだ経験があります。単語が出てこない、音がつながると聞き取れない、文法は分かるのに会話で使えない、といった学習者のつまずきを経験している講師もいます。

ただし、非ネイティブなら全員説明が上手いわけではありません。本人が英語を学んだ過程を言葉にでき、生徒の問題に合わせて練習を提案できるかを見ます。

2.現実的な会話の目標を持てる

英語学習の目標は、ネイティブと同じ発音になることではありません。仕事、留学、試験、旅行など、自分が必要とする場面で相手と意思疎通できることが先です。

私自身も「ネイティブと同じように話さなければ」と考えるのをやめてから、間違いを恐れずに話せるようになりました。高い目標を捨てたのではなく、伝える、直してもらう、もう一度使うという測れる目標へ変えたのです。

3.学習者が話し終わるまで待ってもらいやすい

会話に不慣れな時期は、文を組み立てるまで数秒かかります。沈黙をすぐ埋めず、生徒の発話を待てる講師なら、レッスンが講師の話を聞くだけの時間になりません。

待てるかどうかは国籍ではなく、講師の指導姿勢によります。体験レッスンでは、生徒が考えている途中に答えを言ってしまわないかを確認してください。

4.学習者に伝わる言い換えを使える

難しい単語を別の単語に置き換える、短い例文を作る、図やチャットを使うなど、説明の仕方は一つではありません。非ネイティブ講師の中には、自分が理解できた説明を覚えていて、生徒にも同じ順序で示せる人がいます。

5.さまざまな英語に慣れられる

実際の英語コミュニケーションでは、出身地も第一言語も異なる相手と話します。発音の違う相手とも、聞き返したり、言い換えたりしながら理解する練習が必要です。

カナダで学校を経営していたとき、アジア、ヨーロッパ、中南米など、さまざまな背景の講師を採用しました。中でも韓国系や中国系の講師は、英会話クラスでかなり人気がありました。

正直に言うと、最初は「ネイティブではないんですか」と戸惑う生徒もいました。ところが一度授業を受けると、「話しやすい」「説明が分かりやすい」と、その講師を指名して継続する人が出てきます。私は教室の外から授業を見る立場でしたが、人気の理由ははっきりしていました。生徒が言葉を探している間に答えを奪わず、短い文でもまず最後まで話させていたのです。

講師の出身地ではなく、話す速さを調整し、生徒の発話を引き出せることが選ばれていました。学校経営者として何度も見た、私にとって忘れにくい場面です。

ネイティブ講師のデメリットになりやすい3つの状況

1.英語を話せるだけで、教え方を学んでいない

母語を自然に話せても、文法、発音、語彙の使い分けを学習者向けに説明できるとは限りません。資格の有無だけで決める必要はありませんが、指導経験、訂正の方法、レッスン計画は確認したいところです。

2.講師が話しすぎて、生徒が聞き役になる

話が面白く、会話も滑らかな講師ほど、生徒が「充実したレッスンだった」と感じやすくなります。しかし、生徒がほとんど話していなければ、スピーキング練習としては不十分です。

25分のレッスンなら、最初と最後の説明を除き、自分がどのくらい話したかを振り返ってください。講師の話を聞く練習は、動画や音声教材でもできます。

リスニングを伸ばす練習は、英語を聞き取れるようになる勉強法にまとめています。

3.初心者が質問できず、分かったふりをする

英語だけで説明を受けると、質問そのものを英語にできず、うなずいて終わることがあります。初心者が日本語で確認するのは逃げではありません。日本語で理解したあと、短い英語を口に出す時間を取るほうが、練習の目的が明確になります。

ネイティブ講師が向いている場面

ネイティブ講師を避ける必要はありません。次の目的があるなら、地域や分野まで絞って探すと強みを生かせます。

  • 留学先や勤務先で使われる発音・語彙に慣れたい
  • 自然な言い回しや語感の違いを細かく確認したい
  • 冗談、丁寧さ、失礼になりやすい表現など文化的な背景を知りたい
  • 専門分野のプレゼンや面接を、その分野に詳しい講師と練習したい

「ネイティブ講師」だけでは条件が広すぎます。イギリス留学の準備ならイギリス英語、北米の職場での面接なら北米の採用事情というように、必要な英語へ近づけて選びます。

本音:ネイティブ講師にこだわるほど話せなくなることがある

私自身、カナダへ行ったばかりの頃は、白人のネイティブスピーカーを前にすると必要以上に緊張していました。自分の英語を『変なふうに話して申し訳ない』『今の文、間違っているよね』と、話す前から採点していたのです。

一方、さまざまな国の英語話者と話すようになると、英語を誰かから借りている感覚が薄れました。英語はネイティブだけのものではなく、使う人みんなのものだと思えたとき、間違いを恐れずに話せる量が増えました。私の会話力が大きく変わったのは、発音が急にネイティブらしくなったときではありません。ネイティブを唯一の完成形だと思うのをやめたときです。

英会話サービスの広告では『ネイティブ講師』が分かりやすい売りになります。しかし、広告で目立つ条件と、自分が話せるようになる条件は同じではありません。講師の国籍より、発話量、待ち方、説明、訂正を見てください。

体験レッスンで確認する5項目

オンライン英会話やオンライン教育をイメージした画像

体験レッスンが終わったら、講師の印象だけで決めず、次の項目に○・△・×をつけてください。

  1. 発話量:自分がまとまった文を何度も話せたか
  2. 待ち方:考える時間を取り、必要なときだけ助けてくれたか
  3. 説明:自分のレベルに合う言葉や例文で説明したか
  4. 訂正:重要な間違いをチャットなどに残したか
  5. 次の練習:レッスン後に何を直せばよいか分かったか

発音が好みでも、発話量・待ち方・説明・訂正・次の練習の評価が低い場合は、別の講師も試してください。反対に、非ネイティブ講師でも説明が曖昧で訂正が少ないなら、学習目的には合っていません。

よくある質問

発音がうつるのが心配です

一人の講師の発音だけをまねる必要はありません。教材の音声、ニュース、ドラマなど複数の音源を聞き、講師との時間は会話と訂正に使ってください。特定地域の発音が必要なら、目標地域の音源と講師を選びます。

初心者は日本人講師だけでよいですか?

文法や学習法を日本語で理解し、短い英語を口に出す段階では、日本人講師が大きな助けになります。慣れてきたら、日本語を使わない短いレッスンを加えると、質問や聞き返しの練習もできます。

講師は毎回同じ人がよいですか?

弱点を継続して見てもらうには、同じ講師が便利です。一方、初対面の相手にも説明できるかを確かめるため、時々別の講師と話す方法もあります。軸になる講師を一人決め、必要に応じて別の講師を加えてください。

講師選びと同時に、話す材料を増やす

どれだけ良い講師を選んでも、普段のインプットが少なければ、会話で使える話題や表現は増えません。オンライン英会話の外でも英語を読み、聞き、使いたい表現をためておきましょう。

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ABOUT ME
プロフィール中林くみこ
中林くみこ(Kumiko)
中林くみこ(Kumiko)。株式会社エヌファム代表、IELTS専門講師・著者。「KumikoのIELTSオンライン講座」を主宰しています。カナダで語学学校を10年経営し、IELTS対策をはじめ、TOEIC、英文法、ビジネス英語、翻訳、通訳、英会話など幅広く指導してきました。詳しいプロフィールはこちら
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