日本人は読み書きが得意とされ、スピーキングに比べると、ライティングはそれほど難しくないと思われがちです。
しかし、実際には、IELTSライティングは最もスコアを取りにくい技能と言われています。
高いスコアを獲得するためには、ただ文章を書くだけでは不十分だからです。
今回は、IELTSライティングの基本から高得点のコツ、そして実践的な対策までを丁寧に解説します。
本記事の信頼性
ライティング対策をまとめた記事になっているので、ブックマークで保存して少しずつ取り入れていってくださいね。
目次
IELTSライティングの基本
IELTSライティングでは、タスク1とタスク2で構成されています。
タスク1では、アカデミックモジュールとジェネラルモジュールによって、出題される問題が違います。
自分がどちらのモジュールを選ぶべきかは、目的次第です。あなたがどちらに当てはまるか、下記の記事に詳しく書いているので、参考にしてみてください。
タスク1の概要と勉強法
タスク1は、ジェネラルとアカデミックで問題形式が異なります。
ジェネラルモジュール
ジェネラルのタスク1では、状況を想定した手紙を書く課題が出ます。
手紙の種類は、友人への非公式なものから、企業や公的機関への公式なものまでさまざまです。
ここでの課題は、与えられたシチュエーションに適したトーン(フォーマル、カジュアルなど)や形式で手紙を書くことです。
アカデミックモジュール
アカデミックのタスク1では、グラフ、表、図などの視覚的な情報を元に、150語以上の文章を20分以内に書く課題が出ます。
グラフや図をしっかりと解釈し、それを文章にまとめるスキルが求められます。
下記の記事に、タスク1(アカデミック)の勉強法ついて詳しく書いています。
タスク2の概要と勉強法
タスク2は、アカデミックとジェネラルの問題は共通しています。
提示されたトピックについて、250語以上のエッセイを40分以内に書く課題が出ます。
エッセイの書き方は、一般的なエッセイの書き方と同じで、明確な立場を持ち、それを支える理由や例を提示しながら論じます。
タスク2の詳しい勉強法については、こちらの記事もご参照ください。
以上が、IELTSライティングの基本的な概要です。
これらの情報を踏まえ、次の章では採点基準について詳しく見ていきましょう。
IELTSライティングの採点基準
IELTSライティングの採点基準を理解することは、スコアアップのための第一歩です。
採点基準をすでに知っているという人は、次章にスキップしてくださいね。
あなたのライティングは、以下の4つの基準に従って評価されます。
- タスクの達成
- 論理的な展開
- 語彙
- 文法の正確さと多様性
それぞれの具体的な評価基準を説明していきます。
採点基準①:タスクの達成
タスク1と2で、微妙に基準の呼び方が違うのですが、まぁ同じと思ってもらって差し支えないです。
この基準では、問題の要求にどれだけ応えられているか、つまり、「問題文をどれだけ正確に理解し、それに応じた内容を書けているか」が評価されます。
例えば、タスク1でグラフの全体的な傾向・変化を見逃したり、タスク2で問題文の主題を取り違えたりすると、この基準で低いスコアになる可能性があります。
採点基準②:論理的な展開
これは、あなたの文章が一貫性を持ち、明確な組織構造を有しているかを見る基準です。
「意見や情報が論理的につながっており、読み手が迷うことなく理解できる文章を書くこと」が求められます。
採点基準③:語彙
同じ言葉や表現を繰り返し使うのではなく、「幅広い語彙を使いこなすこと」が求められます。
また、トピックに関連した専門用語を適切に使用することも評価されます。
採点基準④:文法の正確さと多様性
必要以上に複雑にする必要はありませんが、単純な文ばかりではなく、「ある程度複雑な文を使って情報を伝える能力」が評価されます。
文法的な間違いが少ないこともこの基準で見られます。
採点基準については、こちらの記事でも詳しく書いています。よくある質問にも答えております。
次の章では、これらの採点基準を満たすための具体的なスキルや対策について見ていきましょう。
IELTSライティングで高得点を取るためのスキル
ここでは、前章で説明した採点基準を満たすための、具体的なスキルや対策を見ていきましょう。
ライティングのスコアをアップさせるために大切なスキルは、6つあります。
- 問題文の正確な理解
- 明確な段落構造と一貫性のある流れ
- 幅広い語彙の使用と適切な単語選択
- 文法の正確さと多様性
- ペナルティを避ける
- 時間内に書き上げる
IELTSのライティングでは、たとえ英語力があっても、問題への正確な回答することや、論理的に文章を書かなければ、高いスコアを取ることはできません。
スキル①:問題文の正確な理解
IELTSライティングでは、まず問題文の正確な理解が求められます。
それを達成するためには、問題文を慎重に読み、要求されているタスクをきちんと把握することが必要となります。
「問題文を理解する」っていう言葉だけ聞くと「当たり前でしょ?」と思う人も多いかもしれませんが、これがけっこう、理解できていないまま書き始める人が居るんですよね・・・
的外れな回答を書いてしまうと、いくら英語ができていても、スコアを取ることはできません。
もし一度読んで理解できなかったら、2度、3度と読み直します。理解できたと思っても、実際に書き出す前にもう一度読み直しましょう。
問題文をしっかり読んで「何が求められているのかを理解する」ことが、タスクの達成につながります。
スキル②:明確な段落構造と一貫性のある流れ
これは、文章全体が一貫性を持ち、明確な構造を持っているかどうかを示します。
これがどういうことかというと、
- 内容ごとにパラグラフに分ける
- パラグラフの冒頭に、そのパラグラフに書いている内容を明確に述べる
- 主張に対して理由や具体例を出す
- 接続副詞(however, thereforeなど)を適切に使う
こういった感じになります。
これらのポイントを意識することで、試験官が理解しやすい、論理的に展開された文章を作り上げることができます。
しかし、これが、エッセイの書き方を(ほぼ)勉強したことがない日本人には、難しいんですよねぇ・・・
そこで、私が指導するときに使っているのが「ストラクチャー」です。
これは「型」とでも呼ぶべきもので、「どこに何を書くのか」「どういう風にエッセイを整えていくのか」ということを、もう「型」にはめてしまいます。
そうすることで、この項目についてはあまり悩まずに、ポイントをゲットすることができます。
ライティングの論理的で一貫性のある文章の書き方については、下記の記事でも詳しく書いています!
スキル③:幅広い語彙の使用と適切な単語選択
語彙のポイントというのは、とにかく多様で豊富な語彙を用いること、そしてそれを正しく使う、ということです。
しかし、ここで注意すべきは、難しい単語や専門用語を無理に使う必要はない、という点です。
適切な語彙を使うこと、つまり、文脈に応じた最適な単語を選び、それを正しく(スペルや使い方を含める)重要となります。
IELTSライティングでの単語対策については、下記の記事もご参照ください。
スキル④:文法の正確さと多様性
これは、IELTSライティングの採点基準の中でもわかりやすくて、
- 文法間違いをできるだけ少なくする
- 色々な形の文法を使った文章を書く
という、この2点につきます。
例えば、短い文ばかりではなく、接続詞を用いて長い文を作ると、多様性が増します。
でも、無理に難しい文法を使って間違っては本末転倒なので、バランスが重要なわけです。
IELTSライティングにおける文法対策については、下記の記事もご参照ください。
スキル⑤:ペナルティを避ける
何気に大事になってくるのが、IELTSライティングには「ペナルティ」があるということ。つまり、「減点される要素」ということですね。
ペナルティの項目はこんな感じです。
- 語数が足りない
- 文字が読みにくい(手書き試験の場合)
- カンマ・ピリオドの区別がしにくい
- 問題の趣旨からずれている
- 暗記したことがわかる文章がある
私が普段、受講生のライティング解答を添削をしていて「だいたいスコア〇くらいとれるだろうな~」と思っていると、だいたい当たっているのですが、まれに、実際の本番試験で出たスコアが、普段のスコアを大幅に下回ることもあります。
そういうときは、このペナルティのうち1つ、もしくは複数犯してしまっています。
このうち、「問題の趣旨からずれている」というのは、採点基準の「タスクの達成」にもつながるので、これは特にぜひぜひお気をつけください・・・!!
ペナルティについては、こちらの記事に詳しく書いています。
スキル⑥:時間内に書き上げる
IELTSライティングとリーディングでは、やはり「時間制限」がかなりのネックになってきます。
ライティングで時間が足りないと、イコール、解答の「語数が足りない」ということにつながることが多いです。
つまり、一つ上で書いたペナルティとなり、減点対象になります。
また、語数が足りない以外にも、他のことに注意を向けることができないため、採点基準に沿って書けなかったり、質の低下にもつながります。
こればかりは、慣れていくしかありませんが、やみくもに何度も解くのではなく、まずは、しっかりと十分な質のものを書けるようになってから、徐々に早くしていき、制限時間に間に合うように訓練していく必要があります。
ライティングで時間を短縮させる細かいアイディアもありますので、こちらをご参照ください。
効果的な3つのライティング勉強法
ライティングスキルを向上させるためには、効果的な勉強法と適切な教材が必要です。
ここでは、ライティングの弱点を克服し、スキルを磨くための具体的なアドバイスと、おすすめの教材をご紹介します。
勉強法①:語彙力の向上
現在のスコアが5.5以下の人は、まだまだ語彙を向上させる余地があります。
しっかりと毎日時間を取って、反復して覚えていきましょう。
また、新出の単語に出会ったときには、意味だけでなく、文脈での使い方を理解し、自分で使えるようにすることがポイントです。
また、それに加えて、たくさんの英文を読むことを心掛けてください。
私がいつも言う、「多読」です。
「この本は、IELTSに役立つだろうか?」などと逐一考えず、幅広いジャンルの英文を読むことで、自然と語彙力が身につきます。
勉強法②:文法の理解
文法の理解につまずいている方は、基本的な英語の文法書を一冊持っておくと便利です。
不明な点が出てきたときに、すぐに調べられるようになると、効率的に学習を進められます。
例えば、ライティングの添削をしてもらった後、修正箇所を見て、自分で「なぜ間違っているのか」を説明できるかどうかを確かめます。
もしできなければ、文法書で調べるようにしましょう。
勉強法③:論理的な文章構成
これについては、前の章でも述べたように、
- しっかりと問題を読むこと
- ストラクチャーを使用すること
- アウトラインを書くこと(プランニング)
という原則を守ることしか対策はありません。
これができるようになるには、地道に練習を進めていく必要があります。そして、とにかく、一刻も早くストラクチャーを身に着けること、が大切です。
私が指導しているIELTSオンライン講座では、ストラクチャーを完全に理解して、効果的なスコアアップを目指すことができます。
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頻出トピックとその対策
IELTSライティングでは、一部のトピックが頻繁に出題されます。
環境問題
このトピックが出題された際には、具体的な環境問題やその原因・影響、解決策について詳しく書くことを心がけましょう。
教育
教育の目的、教育制度、教育格差など、教育に関する幅広い視点から考え、答えられるようにしておきましょう。
健康とライフスタイル
食事、運動、ストレスなどのライフスタイルが健康にどのように影響するのか、社会全体での健康促進の方法などを考えておくと役立ちます。
テクノロジー
インターネットの利用、ソーシャルメディア、AI、プライバシー問題など、様々な観点から問われることが多いです。
社会問題
貧困、人権、ジェンダー平等、移民問題など、広範な社会問題が取り上げられることがあります。あまり日本ではなじみがないかもしれませんが、英語圏ではよく議論されるテーマです。
経済
世界経済の動向や自国の経済状況を理解することで、具体的な答えを書くことができます。
このような頻出トピックに対応するための対策を取る必要があります。
具体的には
- トピックに関連する語彙力を覚える
- トピックに対しての自分の意見を持つ
- サンプルエッセイを分析する
など、事前に備えておくことが大切です。
英語の新聞やニュースサイトは、実際のライティングの参考になるだけでなく、語彙力や読解力を鍛えるのにも最適です。
また、さまざまなトピックについて意見を持つために、ネタを拾ってくることにもなります。
特に、エッセイや意見記事は、自分の意見を論理的に述べる訓練になりますよ。
IELTSライティング対策の始め方
IELTSライティング対策をこれから始める人や、対策を一から見直そうと思っている人にむけた内容を、この章でお話しします。
前提として、IELTS対策では、リスニング・リーディング・スピーキングの対策をまず行い、ライティングは「最後に取っておく」スキルです。
ですので、歯が立たない、と思ったらライティングの勉強自体をちょっと後回しにする、というのをオススメしたいです。
自分の現在地を把握するためにも、IELTSの公式問題を手に取って、一度、問題を解いてみましょう。
そして、各採点基準で自分がどのレベルにいるかを正確に把握します。
それが明確になれば、どこに時間と労力を投資すべきかも見えてきます。
「全然解けなかった」という人は、ライティングを対策を後回しにするか、下の記事で説明している順に、対策を進めていってください。
ある程度、書けたという人は、定期的にライティング練習をしていきましょう。
問題を解く
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自己分析をする
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フィードバックを受ける
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フィードバックを活かして、問題を解く
やはり、ライティングに関しては、IELTS専門講師からフィードバックをもらうことが大切です。
フィードバックを受けることで、自分が気付かない間違いも修正できます。
ライティングは、一夜にして上手くなるものではないので、コツコツ続けることが大事です。
自分のペースを守り、余裕をもって準備を進めましょう。
焦ってしまうと、無理な勉強方法を選んでしまうこともあります。
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