IELTSの対策をするにあたって、日本人を一番悩ませるのがライティングです。
「え?スピーキングじゃないの?」と思うかもしれませんが、スピーキングは、意外に短期間でスコア達成できたりします。
多くの人にとって、最後まで残ってくるのが、ライティングです。
日本人にとって「英語」=「英会話」となっているため、スピーキングが苦手という側面が強調されていますが、考えてもみてください。
英語で論文はおろか、日本語でさえも、まとまった量の文章って、今までに書く機会がありましたか?
日本で教育を受けてきた人のほとんどが、「NO」と答えるはずです。
そのため、まず最初からつまづき、そこから迷宮入りし、こじらせてしまう可能性が高いのです。
そうならないためにも、しっかり採点基準の知識を得て、賢くIELTSライティングの対策を立てましょう!
本記事の信頼性
IELTS公式運営機関のセミナー講師でもある、私がライティングのスコアをとるポイントについて解説していきますね。
目次
IELTSライティングの採点基準
4つの採点基準
IELTSライティングには、4つの採点基準があります。
4つに分かれた項目でそれぞれスコアが出され、その平均でライティング全体のスコアが決まります。
- 課題の達成度(問題に答えられているか)
- 一貫性と論理性
- 文法
- 単語・語彙
このうち、日本人の受験者が飛びつくのは、③文法と④単語です。わかりやすいからです。
だから、「とにかく間違いを無くして、賢そうな単語で書こう」という発想になるわけです。
しかし、この発想は危険。
実は、「①達成度」と「②一貫性」のほうが大事なのです!
①(達成度)が大事といわれても・・・問題に答えるなんて、当たり前じゃないの?
②(一貫性)が大事といわれても・・・なんか難しそうで、やり方がわからない。
そんな声が聞こえてきそうです。
大丈夫、これからこの記事で、それぞれの採点項目について、説明していきますね。
採点基準① 課題の達成度
課題の達成度とは、何か?
課題の達成度・・・つまり、問題に答えられているか。
でも、問題に答えるなんて、当たり前なんじゃないの?できない人いるの?って思いませんか。
もちろん、これなら、明らかに違うだろ!ってわかるんですけどねぇ。
Q「好きな花は何ですか?」
A「カレーです」
残念ながら、IELTSライティングは問題文自体が抽象的ですし、今までに考えたことがないテーマであることが多いのです。
「どう答えるのが正解か、わからない」というのが、多くの受験者が最初に抱く、正直な感想だと思います。
課題の達成度でポイントを取る方法
これについては、2つ対策があります。
- IELTSの問題形式に慣れること
- 問題文をよく読むこと
どちらも「身もふたもない」と思われそうですが、特に2番は、簡単そうでいて、とても難しです。
私が口うるさく何度も指導しなければ、なかなか実行する人はいません。
IELTSの問題形式に慣れること
こちらについては、私が何も言わなくても実行している人が多いようです。
「とにかく、問題に慣れなければ!」とあなたも思ったことがあるはず。
ただ、多くの人が勘違いしているのは、「慣れる=とにかく数をこなす」というように考えていること。
だから、毎日のように違う問題に取り組む、というようにしている人も見かけます。
しかし、これは間違いです!
他の技能でも当てはまるのですが、ライティングでも、この作業が必要です。
問題を解いたあとにはしっかりと「振り返り・分析」を行って、「なぜ問題に答えることができなかったのか?」ということを考えてから改善する。
これができていない人が、問題集を何十冊とやってきたのに、いまだに問題を勘違いして答えてしまう、というパターンを本当によく見てきました。
とにかく、みんな「数の多さ」を信仰しすぎです。
- 単語を〇個覚えた
- テキストを〇冊やった
- 1日〇時間勉強した・・・
たしかにこういった数をこなすと、キャッチーですし、なんだか形に残るような気がして、抽象的なものが具体化されて「私って勉強してる」と安心できますよね。
でもこれには注意ですよ。
数自体は少なくても、しっかりと「取り組んだ問題を振り返る」というステップを軽視しないようにしてください。
問題文をよく読むこと
これは、かなり軽視されがちです。なぜなら、みんな焦っているからです。
時間制限があるから、「一刻も早く、本文を書き始めなくちゃ」となる気持ちはよくわかります。
ただ、私は、「問題文は少なくとも3回は読むように!」と言っています。
ただでさえ書く時間が少ないのに、「問題文を3回も読んでいる時間はない!」と思われるかもしれません。
でも、これまでたくさんの解答を添削してきた立場から言うと、少し時間がかかっても、3回見直す価値はあります。
というのも、ちょっとした問題文の読み違いで大きく点数を落とすことになるケースを数えきれないほど見てきたからです。
おざなりに3回読むのではなく、毎回新しい視点で「見落としていることはないか?」という気持ちでしっかりと読みなおしましょう。
採点基準② 一貫性と論理性
一番重要なのに一番苦手!
先日、IELTSの元・試験官の方にお話を伺う機会がありました。そこで強調されていたのは、「一貫性と論理性」の重要性です。
私も、たくさんの添削経験から、絶対にこの項目が重要だろう!と思って、そう指導してきたので、その話を聞いた時、「やっぱり」という感じでしたね。
日本の義務教育では「作文」しか習わない。
作文というのは、書き方があってなさそうなもので、「とにかく感情にうったえるものであれば良い」「量が長ければ良い」くらいの指導しかないと思います。
かろうじて、大学に行けば論文は書かされますが、専攻にもよるでしょうが、エッセイの書き方を本格的に指導されるようなことは、日本の大学ではほぼ無いのではないでしょうか。
そして大人になれば、ほとんどの人が、まとまった文章を書くなんていう機会は無くなります。
つまり、ほとんどの日本人が、「一貫性と論理性」を持った英文を書く、なんてことは、かなりの無理ゲーなわけです。
多くの人が、解答用紙を前にして「・・・で、何から書けば良い?」と途方に暮れてしまいます。
日本人の一番苦手なところを、一番試されている、というわけです。日本人がIELTSライティングが苦手になる理由もよくわかりますよね。
日本人が一貫性と論理性でポイントを取るには
一貫性と論理性がある文章、というのは、言い換えると、英語のネイティブが読んですらすらと引っ掛かりがなく読める論理展開がなされている、ということです。
英語のネイティブの考え方に合わせる、という意味ですね。
欧米の考え方と日本の考え方というのは180度違う面もありますので、ここでも日本人は大きなハンデがあります。
スピーキングでも共通して言えることですが、日本と欧米では、話を展開する順番が違います。
【日本人】詳細→理由→結論
【欧米】結論→理由→詳細
話の順番から違うの?!と驚かれるかもしれませんが、これはライティングをする上での大・大・大前提!
ライティングでもスピーキングでも、必ずこの順番は意識するようにしてください。
英語を発するときには、考え方から変えなければいけない、ということですね。
そのほかにも、IELTSライティングの問題文に合わせて150語および250語で書かなければいけない、という条件もあり、日本人が何も考えずに「一貫性と論理性」のポイントを満たすことは、かなり困難です。
そのため、日本人用に作られた、「型」および「マニュアル」が必要になってきます。
この「型」というのは、「テンプレート」「そのままパクって書く」という意味ではありません。
「どこに何を書くか」という、構造を示しているものです。
なので、英語の文章自体は自分で考える必要がありますが、「最初に○○という内容の文章を書き、次に△△という内容の文章を書く」ということがはっきり示してあるものです。
私はこの「型」のことを「ストラクチャー」と呼んでいますが、指導者によっていろいろな呼び方があるようです。
しかし、日本人がIELTSライティングを成功させるにはこういった型が必要だ、という認識は共通しています。
この記事の中では、とてもじゃないですが量が多すぎて書くのは難しいので、別記事で、基本的なストラクチャーについて、解説しています。
私自身が日本人受験者のために開発した「型」やマニュアルをぎっしりと詰め込んでいるIELTSオンライン講座もあります。
現在、講座は満員のため、空きが出来次第に無料メール講座でご案内しています。
採点基準③ 文法
はい、文法。わかりやすいですね。
しかし、実は難しい。というのも、日本人は「文法」というと、「とにかく間違いがないことが大事」と思いがち。
もちろん、それもポイントにはなるのですが、バラエティが飛んだ文法を取り入れるのも大事になります。
- 間違いを少なくする
- 色々な形の文法を使う
この2つについて、詳しく書いていきます。
間違いを少なくする
間違いを「無くす」ではなく「少なくする」と書いているのは、ほとんどの人にとって、間違いを「無くす」のは非現実的だから。
もちろん、これからの英語人生で間違いを少なくしていくのは理想だけど、とりあえずIELTSに関しては、間違いをゼロにするのは不可能だ、と割り切りましょう。
さて、少なくするにあたって、一番優先したいのは、「時制」の間違い。「時制」は多くの人が思っているよりも、英語において重要です。
そのわりに、日本語で重視されていない項目なので、私がライティングを添削すると、時制はほぼ100%の確率でみなさん使い方を間違っています。
複雑な時制だけではなく、現在形や過去形といった、中学レベルの文法でもよく間違いが見られます。
文法について悩んでいる方は、まずは、時制をしっかりと復習してみてください。
バラエティ
色々な形の文法を使う・・・
一般的に「構文」と呼ばれたりもしますが、上級の英文では、色々な文法が使われているものです。
たとえばIELTSリーディングの文章などを見るとわかると思います。
もちろん、この記事を読んでいるあなたにIELTSリーディングレベルの英文を書け、と言っているわけではありません。
具体的に、バリエーションを付けるにはどうしたら良いか。シンプルな2つを提案します。
時制
上記にも書きましたが、やはり英語において時制は大事!
間違いを少なくすることと、色々な時制を使うことの2方向で考えていきましょう。
少なくとも、これくらいは、間違いがなく、適切な場面で使えるようにしておくとかなりポイント高いです。
- 現在形
- 現在進行形
- 未来形
- 過去形
- 過去進行形
- 現在完了形
何度も言うようですが、日本人でこれができている人は本当に少ないです。
接続詞
接続詞を使って、1つの文章を長くすることを考えましょう。
厳密には、「長く」というのは、2文節で構成された文章、ということです。
文節 + 文節 = 文章
文節は、「主語+動詞」が入っている、最低限のカタマリのことで、この文節を2つ使って、1文章を作る、ということです。
【1文節の文章の例】
We’re going on a picnic tomorrow.
私たちは明日ピクニックに行く
【2文節の文章の例】
We’re going on a picnic tomorrow if it’s sunny.
私たちは明日『晴れなら』ピクニックに行く
↑この文章の中で「if」が接続詞にあたります。
こういった接続詞を使って、文章を2文節で構成することを考えましょう。そして、慣れてきたら、接続詞の種類を色々に増やしていくのです。
接続詞については、下記の記事に詳しく書いていますので、ぜひご参照ください。
とりあえず、「時制」と「接続詞」これを意識しましょう!
この2つが変わるだけであなたの英文がかなり変わります。
その他重視してほしい文法項目や、実際の勉強方法については、下記の記事に詳しく書いています☆
採点基準④ 単語・語彙
IELTSライティングの対策として、私がもっとも優先度が低いと思うのが単語です。
というのも、私はまず前提として、ライティングの前に、リスニングやリーディングを対策するように勧めるので、その過程で、語彙もわりと身についてきます。
IELTS全般に効く、単語の覚え方・語彙力の伸ばし方をこちらにて詳しく解説しています!
ライティングで6.5を取るくらいまでは、この記事に書いている方法でまったく問題ないです。
ポイントは、意味を覚えるだけではなく、「使えるようになること」です。
ここでも「数の信仰」はやめて、知っている単語をしっかり活かすことを考えましょうね。
そのうえで、7.0以上を目指すのであれば、下記のことをやりましょう。
- エッセイ1つにつき、上級の単語を1~2個をさりげなく混ぜる
- トピック単語を身に着ける
勉強の方法については、下記の記事に詳しく書いています。
IELTSライティングの採点について、よくある質問とその答え
ここからは、IELTSライティングについてよくある質問にお答えしたいと思います。
手書きの場合、語数はどうやって数えれば良い?
普段から解答用紙に手書きで練習を行い、1行10語書くようにして、Task 1は裏の3分の1、Task 2は裏の3分の2まで書きます。
本番にいちいち数えなくてすむよう、練習しておきましょう!
こちらも参考にしてください。
手書きとコンピュータ、どちらが有利?
まずコンピューター試験で一番有利になりえると思うのが「コピペ機能」です。
残念ながらスペルチェック機能はありません。
コピペ機能は、大きく書き直す時に便利でしょう。ただ、個人的には「大きく書き直さなければいけない」という時点でかなりまずいです。
しっかりとアウトラインを作っておけば、手書きにしろ、コンピューターにしろ、大きく書き直す必要はありません。
それに、たとえコピペができたとしても、何度も大きく書き直していたら訳がわからなくなりますし、時間も食ってしまいます。
あとは、タイピングが速いかVS手書きが速いか、という問題ですね。これについては個人差があると思うので、あなたの状況をじっくり考えてください。
意外と試験会場や日時が大きく違ってくることもあるので、そこもチェックポイント!
テンプレートは減点になる?
はい、減点になります。
詳しくは、下記の記事の「暗記した文章を使っている」という章をご参照ください。
実際にIELTSライティングの英文を書いてみよう!
ライティングは、4技能の中でも、特に戦略的に対策を取る必要がある技能だといえるでしょう。
下の記事を読めば、私のストラクチャーに沿って「実際の英文を書く」ことができます。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
IELTSライティングタスク1
IELTSライティングタスク2
IELTSライティング対策まとめ
「独学でIELTSの目標スコアを取る方法」では、IELTSを「独学で」勉強して結果を出す方法を具体的に解説しております。
独学のスタートにぜひどうぞ!