IELTSのリスニング、最後のパート4は、なかなかスコアが上がらず苦戦する方も多いのではないでしょうか。
この記事では、パート4の問題の流れや、問題の特徴、スコアを上げるための戦略と勉強法を解説していきます。
IELTSリスニングの初心者から、行き詰まっている人まで、すべての人に参考にしていただけるかと思います!
後半パートで、解き方と勉強法を書いていますので、最後まで読んでくださいね。

【IELTSリスニング】パート4はどんな問題か(例題)
公式問題集からの例題
パート4ではどんな問題が出されるのか。ここでちょっとシェアしてみますね。
全部読む必要はありませんが、どんな感じなのか、イメージを掴んでいただけるかと思います。
Complete the notes below.
Write ONE WORD ONLY for each answer.
Ocean Biodiversity
Biodiversity hotspots
・areas containing many different species
・important for locating targets for 31 ____________
・at first only identified on land
Boris Worm, 2005
・identified hotspots for large ocean predators, e.g. sharks
・found that ocean hotspots:
– were not always rich in 32 __________
– had higher temperatures at the 33 ____________
– had sufficient 34 ____________ in the water
Lisa Ballance, 2007
・looked for hotspots for marine 35 ____________
・found these were all located where ocean currents meet
Census of Marine Life
・found new ocean species living:
– under the 36 ____________
– near volcanoes on the ocean floor
Global Marine Species Assessment
・want to list endangered ocean species, considering:
– population size
– geographical distribution
– rate of 37 ____________
・Aim: to assess 20,000 species and make a distribution 38 ____________ for each one
Recommendations to retain ocean diversity
・increase the number of ocean reserves
・establish 39 ____________ corridors (e.g. for turtles)
・reduce fishing quotas
・catch fish only for the purpose of 40 ____________
※引用元: IELTS11 test 1
いかがでしょうか?
これはIELTSリスニングのパート4のみです。
パッと見、「けっこうボリュームあるなぁ」という感じではないでしょうか。「単語が難しいな」と思った方もいるかもしれませんね。
パート4の問題の特徴
インストラクション(指示文)の内容
最初の二行は、問題の説明(インストラクション、指示)ですね。
Complete the notes below.
(下記の講義メモを完成させなさい)
Write ONE WORD ONLY for each answer.
(各解答には一語のみ書きなさい)
毎回、ほぼ同じことが書かれているので、基本的には読まなくて良いのですが、
下線が引いてある「語数制限」だけは読むようにしてくださいね。
基本的には、One wordつまり「1語だけ」なのですが、たまに2語になったりもするので、ここだけサラッと確認してください。
空欄穴埋め形式
見ていただいた例題は、パート4すべてが、空欄穴埋め形式!このように、パート4は基本的に、ほぼ100%の確率で、すべてが空欄穴埋め形式です。
後で書きますが、これがパート4が比較的取りやすいと言われるゆえんでしょう。
音声は一人語り
これもほぼ100%、IELTSリスニングのパート4は、一人の人がずっと話す形式です。
それに対して、パート1やパート3は、2人か3人の対話形式です。
対話形式だと、1人が言ったことを相手が否定したりしてわかりにくいことが多いので、そういった意味でも、一人語りのパート4は、対処しやすい、と言えるでしょう。
パート4の流れ
まず、解説の音声が流れます。内容はこれら2つのことです。
①シチュエーションの説明
②31番~40番まで見る時間が今から与えられます
↓
すぐに、30秒の「先読み時間」が与えられます。音声はストップし、シーンとなります。
↓
30秒後、音声がふたたび始まります。しかしこの音声は非常に短く、「じゃあ、聞いてね」くらいのことがサラッと言われるだけです。
↓
音声が流れ始めます。
↓
音声が終わったら、すぐにリスニングは終了します。
↓
その後、ペーパーベースのテストの場合は10分間、コンピューターベースの場合は2分間の書き写し時間が与えられます。
パート4が難しい理由

二つに分かれていない
パート1、パート2、パート3では、それぞれ10問あるうち、だいたい5問ずつくらいに(つまり半分に)区切られています。
そして、それぞれの句切れの前に「読む時間」が与えられます。
最初に1番~5番について読む時間があり、1番~5番の音声が終わったら、6番~10番について読む時間があり、6番~10番の音声が流れる、という流れですね。
しかしパート4は、二つに区切られていないので、10問分を一気に読む時間が必要があり、音声も10問分一気に流れます。
なので単純に、パート4では、読む量が倍になる、わけですね。
これはかなーり、キツイと思います。
単語が難しい
パート4は、大学の講義も多いと言いましたが、言葉をかえれば、専門用語がどうしても多くなる、ということでもあります。
そこでひるんでしまう人も多いようです。
ただ、専門用語がわからなくても解けることも多いので、わからない単語に振り回されずに、しっかり全体の文脈を読み取って聞き取って流れに乗ることが、単語を知っていることよりも大事です。
これについては後で話します。
パート4の対策がしやすい理由
空欄穴埋め式の問題である
上記の例題を見ていただければわかるように、パート4は、高い確率で(ほぼ全問)、空欄穴埋め形式です。
私が見てきた中では、みなさん一般的に、空欄穴埋め形式の問題は比較的、得意です。あなたもそうではないですか?
空欄穴埋め形式は、前後の助けもありますし、長い文章が空欄に入るわけでもないですから。
選択肢問題よりはマシ?
IELTSリスニングのパート2、パート3で出てくるのが、恐怖の選択肢問題で、これが何といっても学習者を悩ませます。
選択肢問題は、問題文と設問文を両方読まなくてはいけないので、シンプルに読む箇所が多い!
そして、音声を聞いて、いざ答える、という段になっても、不正解の選択肢も「いかにも正解そう~」な顔をしているので、目が泳ぐ!
それよりは、空欄穴埋め形式のほうが、やりやすいと考える人は多いです。
箇条書きが多い
パート4は、大学の講義を聞き取って、(生徒が)ノートを書いている、というシチュエーションなのですが、ノートですから、要点が箇条書きになっているわけです。
箇条書きですと、ただ文章が羅列されている場合と比べて、流れが追いやすいという利点がありますね。
また、サブタイトルも付け加えられている場合が多く(例題ですと太字になっている箇所)、これも助けになります。
流れが追いやすいということは、もし一度見失っても、またリカバリーもしやすい、ということですので、10問分いっきに解かないといけないパート4では非常に助かる点でもあります!
シチュエーションがほぼ固定されている
IELTSリスニングのパート4は、だいたい、
- 大学の講義
- 何らかのプレゼン
というようなシチュエーションで、一人の人が専門的なことについて延々と話している、というものです。
そして、それを書き取っているノートの穴埋めをしていく、という形です。形式はほぼこれで固定されているので、サプライズがなく、対策が立てやすいと言えます。
また、上で書いたように、音声も一人語りのため、対話形式よりも対処しやすいと思いますよ!
パート4の解き方【4つの戦略】

そんなパート4の特徴を知ったら、それを最大限に活かして戦略を立てていきましょう。4つの攻略法を説明していきます。
① 空欄穴埋め形式を最大限に活かす
空欄穴埋め形式の良いところ、というのは、やはり前後の文脈の助けがあることでしょう。
先読みの時に、ある程度「どんな単語が来るのか」ということを、
- 文法上から
- 意味上から
予測することも可能です。
文法上 = 名詞、形容詞、動詞、単数複数など(高い確率で名詞)
意味上 = 人の名前、動物の名前、素材、種類、数字など
まれですが、時には、先読みしているだけで何の単語が入るか当てられてしまうことも!
このメリットを活かさない手はないので、先読みのときにこれを意識しましょう。また練習の時も、これを意識していくことが大事です。

② 箇条書きを最大限に活かす
箇条書きは、後から書くように、短い時間で上から下へと目線を動かして、全体の流れを読み取りやすいと思います。
また、上の例題を見ればわかるように、サブタイトルで分けられていますし、太字になっていたりするので、そこだけまずはしっかり読む、ということを当面の目標にしても良いでしょう。
とにかく、他の形式よりも全体像が読み取りやすい、というのはすごいメリットなのでこれを最大限に活かすようにしましょう!
③ 30秒を最大限に活かす
最初に与えられる30秒=リーディングに集中できる時間をどのように使うか、というのは、かなり重要な戦略になってきます。
- タイトルがあれば、まずタイトルを見る
- サブタイトルがあれば、それも読む
- 太字があれば、それを集中的に読む
ということをやり、まずは全体の趣旨をつかむことが重要です。何についてしゃべっているのか?がわからないことにはお話になりませんから。
これってリーディングのアドバイスと同じなんですけどね。
そのうえで、もし余裕があれば、さらに、空欄にどのような単語(品詞、人物なのかモノなのか)がくるのかを予測する。
これが、できれば完璧です!!
④ 途中で見失っても、体勢を立て直す
パート4の「空欄穴埋め」「箇条書き」という特徴というのは、実は、途中で見失っても、また見つけやすいということを意味します。
「途中で見失う」というのは、音声を聞いている時に集中力を失い、流れについていけなくなり、「どこのことを言ってるんだろう」という状態になることです。
誰もが経験ありますよね?いったん見失ってしまうと、なし崩し的に、諦めてしまったり・・・
しかし、パート4の場合は、もしそうなっても、あきらめずに、立て直すことが十分可能です。
そのためにも全体のストーリーの流れをおさえておくことが助けになります。上で書いたように、先読みの際に全体像をつかむことを意識しましょう!
パート4の勉強法
自分に合った戦略を探る
公式問題集を使った練習を通じて、自分に合った戦略を探っていきましょう。
漫然と思考停止して、問題の数だけ重ねて「いつか慣れてスコアが上がるだろう」と思っている人が多いのですが、それだと伸び悩んでしまいます。
きちんと間違いを分析し、次回のテーマを決めて、実行する、というサイクルを回しましょう。
その過程で、自分がどのようにしたら一番解きやすいのかということを色々と試行錯誤して考えます。
本番までに、自分にぴったり合った方法を見つけることが、練習の意義といえるでしょう。
マルチタスクする、しない
マルチタスク、というのは複数のことを同時に進行させることです。
IELTSリスニングでいうと、音声を聞きながら読む、ということなのですが、実は私はこれはあまりお勧めしていないです。
マルチタスクは、基本的には、脳にとって効率が良くないと言われており、どっちつかずになってしまうのです。
先読みの時に集中して読んでしまい、音声を聞くときには、目をつぶるくらいのほうが良いと思います。
ただ、マルチタスクができる人もまれに居るのですよね、私が今まで見てきた中では。なので、どちらもご自分で試してみてほしいです。
メモを取る、取らない
これはけっこう意見がわかれるところです。
IELTSのリスニングでは、私は、メモは取ることはあまりお勧めしていません。
上で言ったように音声を聞きながらメモを取る、というのはマルチタスクにあたりますので集中力がそがれますし、うまくできない人のほうが確率としては高いです。
ただ、どうしても先読みの内容を忘れてしまう、とか、音声を聞きながら忘れてしまう、という人もいるので、1~2単語くらいのレベルでメモを取るのも一つかもしれません。
これも、自分に合った方法を試してみてほしいです。
しかし、「内容を忘れてしまう」という原因は、この記事で何度も言っている「全体像をつかむ」ことができていないことにある場合もありますので、しっかり分析する必要があります。
何が苦手なのかを探る
ひとえに「パート4が苦手」といっても、何が原因で苦手なのか、ということを掘り下げないと前に進めません。
ちなみに、私の今までの生徒さんで、下記のような悩みを言ってこられましたが、「実は違う原因だった」ということがありましたので、そちらを載せておきます。
しっかりと間違いを分析し、深掘りして真の原因を探ることが重要です。
生徒さんの分析 | 私の分析 |
単語が知らないものが多い | 単語がわからなくても解けることが多い |
先読みができない | 全体像を掴めていないだけかも |
聞き取れない | 先読みが足りないかも |
その他、「リスニングがどうしても上がらない」という人へ向けた記事がありますので、こちらもご参照ください。

インプットを増やす
パート4は読む量が多いので「とにかく英文を読むスピードを速くしなきゃ!」と考える人が多いですし、「そのためには練習問題をたくさん解かないと!」と考える人が多いです。
しかし、攻略法で書いてきたように、全体像をとらえることがとても大事ですし、「英文を読むスピード」というより、英文を処理する能力を磨いてほしいと思います。
そのためには、多読・多聴が必須です!
「またか~」と思うかもしれませんが、結局はそれが近道です。

何も考えずにたくさん読んだり聴いたりすれば伸びるのですが、
もっと勉強っぽくしたい場合は、こういったトレーニングがおすすめです。
- パッセージを一度読んで要約をする
- パッセージを一度聞いて要約をする
- 音源のついているパッセージを使い、音に合わせて読む
要約というのは、日本の義務教育でほとんどやらないので苦手な人が多いのですが、リスニングに限らず、IELTS対策としてはとても有効です。
要約は日本語訳とは違って、全体のストーリーをわかっていないとできないので、この記事で何度も書いてきたように、全体像をつかむ訓練になります。
【IELTSリスニング】パート4 解き方まとめ
今回、IELTSリスニングのパート4に絞って解説しました。
まとめると、パート4を解くコツは、こちらになります。
- 空欄穴埋め形式の回答パターンを理解する
- 箇条書きを最大限に活かす
- 30秒で全体の趣旨をつかむ
- 途中で見失っても、体勢を立て直す
他のパートも含めた、リスニング全体の対策については、下記の記事を参考にしてくださいね!


「独学でIELTSの目標スコアを取る方法」では、IELTSを「独学で」勉強して結果を出す方法を具体的に解説しております。
独学のスタートにぜひどうぞ!